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アンジェリーナ・ジョリーが離婚申請。原因は酒、マリファナ、マリオン・コティヤール?

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
昨年、共演作「白い帽子の女」のプレミアに出席したふたり(写真:REX FEATURES/アフロ)

“ブランジェリーナ”は、正式に死語になった。米西海岸時間19日(月)、アンジェリーナ・ジョリーが裁判所に離婚申請を行ったのだ。

離婚申請書で、ジョリーは、ピットが6人の子供に会うことは認めるものの、育てるのは自分ひとりであることを要求している。アメリカでは、たいていの場合、子供のいる夫婦が離婚する時は共同親権が普通で、これはかなり異例である。養育費と配偶者サポートは、要求していない。子供はピットにとって何よりも大切な存在で、親権がジョリーだけに移ってしまうと、彼の日常生活から子供たちが奪われることになってしまい、離婚条件の話し合いの焦点は、この部分になるのではと思われる。

TMZ.comが伝えるところによると、ジョリーは、ピットがマリファナと酒を多用し、怒りを抑えられないことがあることに、長い間不安を感じていたらしい。また、彼の子育てのやり方にも不満を抱いているようだ。People.comの報道によると、ピットは、決して手は出さないものの、子供は厳しくしつけるタイプで、時には怒鳴ることもあるという。一方、ジョリーはおっとりとしており、声を上げることは絶対にないらしい。だが、TMZ.comはまた、「ピットが怒りを抑えられないというのはジョリーによる意地悪な嘘。彼は優しい父親で、子供たちを危険にさらすことは絶対にない」という、ピットに非常に近しい人のコメントを紹介している。この人は、ピットがドラッグや酒をやるかどうかについては述べていない。

2009年のトーク番組で、ホストのビル・マーラーに「あなたはマリファナの巻き方がすごく上手いですよね。なのに、なぜマリファナをやめたんですか?」と聞かれた時、ピットは、「父親になったからだよ。もうあれは昔の話だ」と答えている。しかし、同じ年、クエンティン・タランティーノは、別のトーク番組で、ピットが所有する南仏のシャトー・ミラヴァルで、彼の作るロゼワインを一晩のうちにふたりで6本も開け、“ちょっと良い物も吸った”と告白していた。

ピットとジョリーがこのロゼワイン“ミラヴァル”を作るこの広大な土地は、ふたりが2008年に購入したもので、2年前にはここで結婚式も行っている。最近、ここでジョリーの姿がまったく目撃されないのに対し、ここのところ、ピットは、2週間に一度ほどの頻度で訪れているそうで、「ジョリーと言い争いがあると、ここに逃げてきていたのではないか」との憶測もある。最近、この不動産はこっそりと売りに出され、近所ではすでに、「ふたりが離婚するからだ」と噂が飛び交っていたらしい。

TMZやPeopleは、ふたりの離婚に不倫の要素はまったく関わっていないと報道しているが、New York Postは、ピットが次回作「Allied」で共演するマリオン・コティヤールの存在について語っている。New York Postが接触した、彼らに近しい情報源によると、ピットがコティヤールにちょっかいを出しているのではないかと疑ったジョリーが私立探偵を雇って調べたところ、実際にそうだったということだ。さらに、セットはドラッグにあふれ、独身男たちのワイルドな遊びの場のような雰囲気で、そこにピットがすっかり馴染んでいることに、ジョリーはうんざりしたのだという。結婚はしていないものの、俳優で映画監督のギョーム・カネとの間に一児をもつコティヤールは、ピットとの関係を全面否定している。

離婚申請がメディアに報道されたのを受けて、ジョリーのマネージャー、ゲイヤー・コシンスキは、「アンジェリーナは、いつでも、子供たちにとって一番良い選択をし、彼らを守ります。厳しい状況にある彼らのプライバシーを尊重していただけますよう、お願いします」と声明を発表した。ピットも、「このことを、僕はとても悲しく思っています。しかし、一番大切なのは子供たちです。彼らのプライバシーを尊重してくださいますよう、マスコミのみなさんにお願いします」との声明を発表している。

ピットとジョリーは、2003年、「Mr. & Mrs. スミス」の共演で出会った。ピットとの共演が決まっていたニコール・キッドマンが、別の映画の撮影が長引いたせいで降板し、代わりにジョリーが決まったものだ。この時、ピットはジェニファー・アニストンと結婚しており、ジョリーはシングルマザーとして、カンボジアから養子にとったマードックス君を育てていた。2005年、アニストンが離婚を申請してまもなく、ふたりの関係は公となる。同性婚を合法化するべきだと主張するふたりは、長い間、「結婚したい人がみんなそうできる世の中になるまで、僕らは結婚しない」と語っていたが、両親の結婚を望む子供たちに後押しされ、2012年に婚約。2014年8月、ついに正式に夫婦となった。昨年には、ジョリーが監督と脚本を兼任した「白い帽子の女」で、「Mr. & Mrs. スミス」以来、初めてスクリーンで共演している。この映画から、彼女のクレジットは、アンジェリーナ・ジョリー=ピットに変わっている。

ピットにとって、これは2回目の離婚。ジョリーは、過去に、ジョニー・リー・ミラー、ビリー・ボブ・ソーントンと離婚しており、これは3度目となる。ジョリーは、今回の離婚弁護士に、ソーントンの時にも依頼したローラ・ワッサーを雇っている。ワッサーはつい最近、ジョニー・デップとアンバー・ハードの離婚でデップの弁護士を務め、ハードがけしかけたさまざまな問題にうまく対処し、デップの受ける痛手を最低限に抑えている。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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