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マドンナの息子、マリファナ所持で逮捕される。事件を起こしたセレブの子と、その親子関係

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
マドンナとガイ・リッチーの息子ロッコ(写真:Splash/アフロ)

お騒がせでキャリアを築いてきたマドンナも、さすがにこれは予定外だっただろう。彼女と元夫ガイ・リッチーとの間に生まれた長男ロッコ(16歳)が、9月28日、マリファナ所持でロンドンの警察に逮捕されていたことが明らかになったのだ。

昨年、ロッコは、マドンナのツアーに着いていくのを途中でやめ、ロンドンで父と一緒に住みたいと言い出した。反対するマドンナはニューヨークの裁判所で訴訟を起こし、数ヶ月に及ぶ争いが続いたが、最終的に、ロッコは父のいるロンドンで学校に通うことで決着している。ロッコが父と住みたがる理由として、マドンナは、リッチーは甘やかしてくれるからだと述べていた。ファーストフードや炭酸飲料など絶対にありえないマドンナとの暮らしと比べ、リッチーの家のほうがいろいろな意味で自由があるのは、想像に難くない。

思ったとおり、あっちに渡したらこんなことになってしまったと、内心悔しがっているかもしれないが、マドンナは、今週、公に向け、「私は息子を本当に愛しています。彼が必要とするどんなサポートも与えてあげたいと思っています。みなさんが私たちのプライバシーを尊重してくださることを願います」との声明を発表している。

2年前には、ロバート・ダウニー・Jr.の長男インディオ・ダウニー(当時21歳)が、コカイン所持でL.A.警察に逮捕された。ダウニー・Jr.本人も、長年、ドラッグとアルコール中毒に苦しみ、刑務所入りを経験した人(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20151227-00052851/)。わが子も同じ罠にはまってしまったことを受けて、ダウニー・Jr.は、「不幸なことに、中毒には遺伝子の要素が関わっています。インディオもそれを引き継いだようです。僕ら家族はそれを理解し、彼がなりえるべき人になれるよう、全力で応援します。今回、警察が彼を止めてくれたことに感謝します。インディオは、新たな回復の例を作り出し、世の中に警告も与えてくれることでしょう」との声明を発表している。

お金に恵まれ、派手な環境に生まれ育ったセレブリティの子供たちには、得なこともたくさんある代わりに、普通とは違う状況から来る危険も潜んでいるのかもしれない。ダウニー・Jr.も、やはり俳優である父から、6歳でマリファナを教わっている。セレブの子供たちが起こしたドラッグ、酒、DVがらみの事件を振り返ってみる。

マイケル・ダグラスと息子キャメロン

マイケル・ダグラスが最初の妻ディアンドラとの間にもうけた長男キャメロン・ダグラス(現在37歳)は、1999年と2007年にドラッグ所持で逮捕される。2009年、またもや逮捕されるが、この時は、所持していた量が多かったことから、販売目的があった疑いも持たれた。自宅監禁の処分を受けるも、その間にもガールフレンドにこっそりとヘロインを持ってきてもらっていた事実が発覚する。

わが子が懲役10年を命じられる可能性が出てきた時、自身もセレブリティの息子であるマイケルは、ニューヨークの裁判長に向けて、「私は息子を愛しています。しかし、彼がやったことが見えないわけではありません(中略)。有名人の父を持つというのがどういうことかというのは、私自身が知っています。でも、二世代にわたるというのがどういうことなのかは、わかりません」との手紙を書いている。さらに、彼は、自分がいつも仕事で不在であり、妻ディアンドラとの夫婦仲は悪く、キャメロンは13歳で学校に行かなくなり、ドラッグを覚えたのだと、彼の置かれてきた環境を理解してもらうよう、嘆願した。

マイケル本人も、ドラッグとアルコール中毒で1992年に30日間を更生施設で過ごしている。マイケルの弟エリック(カークと2番目の妻の間に生まれ、マイケルとは母親が違う)は、2004年、ドラッグの過剰摂取で46歳にしてこの世を去った。

ニコラス・ケイジと息子ウエストン

ニコラス・ケイジと、彼が80年代末につきあった女優クリスティーナ・フルトンとの間に生まれた長男ウエストン・コッポラ・ケイジ(現在25歳)はメタルバンドのリードシンガー。2011年、ウエストンは、やはりミュージシャンであるニッキー・ウィリアムズと結婚したが、まもなくDVでふたり揃ってL.A.警察に逮捕された。当時、ウエストンは、Facebookに、「今はまだハネムーンの時期のはずなんだよ。殴りあう時期じゃないんだ。この関係のせいで僕は血を流している。でもがんばるよ。僕も妻も、刑務所から出てやる」と投稿している。それからまもなく、ウエストンは、ハリウッドのレストランで暴力事件を起こし、精神鑑定を受けることになった。

18歳になるまでウエストンを育ててきた彼の母は、息子がトラブルに巻き込まれるようになったのはニコラスの責任だと、CNNへのインタビューで昔の恋人を責め立てた。一方、ウエストンは、父の弁護士を通じ、「僕はもう大人。お母さんには出てきてほしくない。僕に問題があるとしたら、それはお母さんとの関係のせいだ」と、声明を発表している。

ニコラスも、3度目の妻アリス・キムにDVを行った疑いで、2011年、ニューオリンズで逮捕されている。夫妻は、11年の結婚を経て、今年、別居をしている。

ライアン・オニールと息子レッドモンド

ライアン・オニールと故ファラ・フォーセットとの間に生まれた長男レッドモンド・オニール(現在31歳)は、ドラッグ所持で何度も逮捕されている。保護観察期間にあった2008年には、レッドモンドと父ライアンが、ライアンのマリブの家で一緒に薬物を使っていたことが発覚し、再逮捕された。ライアンは罪を認め、更生プログラムを修了することを義務付けられている。レッドモンドはその後、4回にわたって保護観察処分中の約束ごとを破り、2015年には3年の懲役を受けたが、今年9月、早めに釈放された。釈放後、父ライアンと一緒にいるところがパパラッチされている。

長女テイタムも、2008年、マンハッタンでコカインを買おうとしているところを警察に発見され、逮捕された。テイタムの弟でライアンの長男であるグリフィンは、昨年、「People」へのインタビューで、「僕の家族はみんな、ドラッグとアルコールと鬱に悩まされてきた。それは終わりのないサイクルだった」と語っている。グリフィンは現在、家族と距離を置くため、L.A.を離れ、メキシコの国境に近い小さな街に住んでいる。ドラッグはきっぱりやめ、父ライアンとは、もう10年ほど話をしていないという。

ジョン・ボン・ジョヴィと娘ステファニー

ジョン・ボン・ジョヴィの娘ステファニー・ボンジョヴィ(当時19歳)は、2012年、ニューヨークの大学の寮で、ヘロインを過剰摂取し、病院に運ばれた。ステファニーはマリファナなどほかの薬物も所有しており、逮捕されたが、すぐに釈放されている。事件後、父ジョンは、「僕には姉妹がいなかったし、(娘を育てる上での)マニュアルはなかった。だからできるかぎり愛情を注いで育てた。今、僕は、(同じ立場に置かれた)ほかの親と同じように、動揺している。どうしていいものかわからない中、支援してくれる人、僕らを愛してくれる人の助けを得ようとしている。今は、そういう状態。ステファニーは良い子。今の段階で発見できてよかった。これで終わりだ。僕はそう自信をもっている。もちろん、誰にも未来はわからないが」と、メディアに対して語った。

ジョン本人はドラッグとは無関係で、ステファニーがその後再びトラブルに巻き込まれたという報道はない。

ブルース・ウィリスと娘スカウト

ブルース・ウィリスが最初の妻デミ・ムーアとの間にもうけた3人の娘の真ん中にあたるスカウト・ウィリスは、20歳だった2012年、ニューヨークのユニオン・スクエア駅でビールを飲んでいるところを警察に見つけられた(アメリカで飲酒が許される年齢は21歳)。この時、スカウトは、警察に“キャサリン・ケリー”という名の、偽の身分証明書を提出している。これを信じない警察がさらに追求したところ、彼女は本当の名前を告白した。

その事件の4ヶ月ほど前には、母デミが、薬物中毒と拒食症のため、更生施設に入所している。2014年には3人姉妹の末娘タルーラが、ドラッグとアルコール中毒で、やはり更生施設に入った。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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