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【派遣法】安倍総理がまたウソの説明

佐々木亮弁護士・日本労働弁護団幹事長

9月3日は、参議院厚生労働委員会で派遣法案の審議が安倍総理出席の下で行われました。

労働者派遣法改正案 首相が必要性を訴え

その審議で安倍総理は次のような答えをしています。

「今回の改正案は正社員を希望する方にはその道を開き、派遣を選択する方には待遇の改善をはかるためのものです」

出典:労働者派遣法改正案 首相が必要性を訴え

なんていうか、こなってくると、

ウソも休み休み言え!

と言わざるを得ません。もちろん、休みながらウソを言うのもよくありませんが。

たぶん、安倍総理は法案読んでない

以前にも、「【派遣法】繰り返される「『正社員化』を促進する」という安倍総理の無理な説明」という記事で指摘しましたが、安倍総理はオウムのように、今回の派遣法案は、正社員化の道を開くものだと繰り返します。

しかし!

法案のどこにも、派遣労働者の正社員化に道を開く制度は入っていません。

おそらく、安倍総理は、派遣法案の

派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること。

という部分、これが正社員化に道を開く制度だと官僚の人から教えてもらって、オウムのように繰り返しているのでしょう。

しかしながら、これに実効性がないことは、もう、何回も、何回も、何回も、何回も指摘したところです。

要するに、

派遣元「うちの派遣社員を直接雇用して下さい! <m(__)m>」

派遣先「無理です。 (-_-;)」

派遣元「そですか。残念です! (>_<)

(とはいえ、これで義務は果たしたわけだからな。(-。-)y-゜゜゜)」

こういうことです。

もうこのあたりの実効性のなさは議論としては決着しているんですが、安倍総理は、まだ正社員化に道を開くと言うんですね。

法案を読んでれば、こんなの誰でも分かる話です。

派遣を選択する方には待遇の改善をはかるためのもの?

これもウソです。

法案には、派遣労働者の待遇改善を義務づける実効性のある条文はありません。残念ながら。

どっからこういうことをきいて、信じ込まされているのか、もう謎としか言いようがありませんね。

それでも強行採決を狙う政府・与党

報道によると、やはり与党は8日の採決を目指しているとのことです。

しかし、下記記事で指摘した派遣労働者保護のための制度である労働契約申込みみなし規定を毛嫌いしていたり、そのため施行日を9月30日してほとんど周知期間を設けなかったり、附則9条をゆがんで解釈したりなど、問題は山積しています。

派遣労働における低賃金や不安定について、実効性のある措置を一切取らないまま、派遣社員が増大する規制緩和を強行しようとしています。

是非、参議院の厚生労働委員のメンバーへ反対の声を届けていただければと思います!(^_-)→参議院厚生労働委員会名簿

参考記事

派遣法案の施行日、到来!! まぁ、まだ成立してないんですけど。

【マニアック】派遣法案附則9条問題の解説と迫る強行採決の危険!

弁護士・日本労働弁護団幹事長

弁護士(東京弁護士会)。旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長(2022年11月に就任しました)。ブラック企業被害対策弁護団顧問(2021年11月に代表退任しました)。民事事件を中心に仕事をしています。労働事件は労働者側のみ。労働組合の顧問もやってますので、気軽にご相談ください! ここでは、労働問題に絡んだニュースや、一番身近な法律問題である「労働」について、できるだけ分かりやすく解説していきます!2021年3月、KADOKAWAから「武器としての労働法」を出版しました。

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