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【ブラックバイト】今年もノルマで恵方巻を買わされた事例が多発したようです。

佐々木亮弁護士・日本労働弁護団幹事長
恵方巻と豆と鬼のお面(写真:アフロ)

きのうは節分でしたね。みなさん、豆まきしましたか?

私はまいてないです。

さて、近年、節分に「恵方巻」を食べるという文化がコンビニ・スーパー業界を中心に拡散され、市民権を得てきたような雰囲気が作り出されています。

しかし、この「恵方巻」こそ、コンビニやスーパーでのノルマ強制の代名詞と言っても過言ではないでしょう。

しかも、ノルマを課すだけならまだしも、ノルマ不達成分を労働者に買わせるという自爆営業が多発しています。

ツイッターでも多くの人が、「ノルマ達成できた」というつぶやきだけでなく、「ノルマがきつい」「恵方巻を買わされた」などと投稿されていました。

恵方巻を買い取らせる自爆営業が多発

どなたかがそうしたツイッターでのつぶやきをまとめています。

【ごり押し】恵方巻とノルマ【悲劇】

この中から自爆営業となっているものを少しだけピックアップすると、

会社のノルマ達成の為に今年は恵方巻を8本買わされた。まぁ1日2本で4日だし、食い物だから我慢するけど…服とかだったら悲惨よね

ちなみに、今年も15本ノルマがあったので、今年は6本の恵方巻と3本の海鮮恵方巻・恵方ロール的なのを2種3本ずつ予約した。

恵方巻のノルマ1人12本とかおかしいだろ。しかも達成出来ない場合は12本買えって話ときた。大体恵方巻1本安くて600円だから、それを12本って言ったら7000円は行くレベルだ。完全にうちのスーパーはブラック企業だ。

恵方巻ノルマ6本あるんだけど、一本も予約せずスルーしてたら ついに店長から直接LINEきた

今日の晩御飯は恵方巻でした。お店のノルマがあるもんで( TДT)

など、続々と出てきます。

自爆営業については、クリスマスの際にクリスマスケーキについて書きましたが、それから2ヶ月も経たないうちに、また自爆営業が行われいてることになります。

ノルマ不達成分を買う義務はない

ブラックバイト問題で起こる事象には諸々ありますが、私は以下の7系統に分類しています。

  1. 無賃労働系
  2. ノルマ系
  3. 罰金・損害賠償系
  4. 退職妨害系
  5. シフト系
  6. ハラスメント系
  7. 解雇・雇止め系

自爆営業はノルマ系となります。

言うまでもないですが、ノルマを達成していないからノルマ分を労働者に自費で強制的に購入させることは違法です。

労働者には、不必要な物を買う義務はありません。

大事なことなので繰り返しますが、ノルマ不達成分を買う義務は労働者にはありません!

自爆営業を一掃しよう!

ブラックバイト問題がこれだけ注目を浴びるようになっても、まだコンビニやスーパーでは平然と労働者に自爆営業をさせているようです。

以前も書きましたが、厚生労働省のブラックバイト調査では、コンビニでアルバイトする学生の11.6%が「商品やサービスの買い取りを強要された」と答えています。

10人に1人以上が自爆営業をしているということになります。

これは異常事態です。国も何らかの対策が求められます。

労働者側も対処する必要があります。

要らない物は買わないという意思をしっかり示すことです。

人間関係などがあり、なかなか難しいかもしれませんが、ノルマ分を買わせることがおかしいという認識が広まれば、求める側も求めにくくなってくるはずです。

是非、この記事をお読みになった方は、自爆営業はおかしいことだということを世の中に広めていただきたく思います。

また、コンビニやスーパーなどの小売業界は、この悪しき風習を改める必要があると思います。

こうしたことで売り上げを維持しているとしても、それは偽りの数字です。

また、いつか労働者からも消費者からも見放される時が来るでしょう。

是非、業界全体で危機感をもって改善に取り組んでいただきたいものです。

【参考】

自爆営業に関して学べる動画を東京都が作ったので貼っておきます。

知らないと損する労働法II【(6)キャンペーンのノルマが...自爆営業・給料天引編】

→解説は私。

もし困った場合は学生向けの労働組合もありますので、相談するのがいいと思います。

首都圏学生ユニオン

ブラックバイトユニオン

また、自爆営業については、今野晴貴さんの次の記事が詳しいですので、ぜひご参照ください。

クリスマスケーキの強制買い取りは違法?

弁護士・日本労働弁護団幹事長

弁護士(東京弁護士会)。旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長(2022年11月に就任しました)。ブラック企業被害対策弁護団顧問(2021年11月に代表退任しました)。民事事件を中心に仕事をしています。労働事件は労働者側のみ。労働組合の顧問もやってますので、気軽にご相談ください! ここでは、労働問題に絡んだニュースや、一番身近な法律問題である「労働」について、できるだけ分かりやすく解説していきます!2021年3月、KADOKAWAから「武器としての労働法」を出版しました。

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