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Googleの「Android One」スマホ:タイでも登場、地場メーカー「i-mobile」が投入

佐藤仁学術研究員・著述家

Googleは新興国を中心にまだスマートフォンを持っていない「次の50億人(next five billion)」を対象に、低価格なスマートフォンを提供することを目指して、2014年6月に「Android One」OSを発表した。「Android One」OSを搭載したスマートフォンは2014年9月からインドでの販売を皮切りに、アジアの新興国で次々と地場メーカーから販売されている。

▼主要な「Android One」スマートフォン販売国

(公開情報を元に作成)
(公開情報を元に作成)

■タイでも地場メーカー「i-mobile」から120ドルで販売

そして2015年8月から、タイの地場メーカー「i-mobile」も「Android One」を搭載したスマートフォン「IQ II」を4,444バーツ(約120ドル)で販売することを発表した。

地場メーカー「i-mobile」は、インドや中国のスマートフォン以降に登場した地場メーカーと違い、フィーチャーフォンの時代からタイでは人気のある老舗ブランドである。2014年のタイのスマートフォン市場での出荷シェアはサムスンが43%で1位、次いでAppleが18%、ノキアが11%、i-mobileは9.2%で4位である。

バンコクでは若者を中心にほとんどがスマートフォンを利用しているタイでは1年間に販売されるスマートフォンは約1,000万台。今後も4,000バーツから12,000バーツ(約14,400円~43,200円)のミドルエンドの価格帯のスマートフォンが大量に流通し、市場を牽引していくだろう。

タイではシェアでこそサムスンが1位だが、人気があるのは圧倒的なブランドを誇るハイエンドのiPhoneである。低価格で機能性を追求する他の新興国のスマートフォン市場とは異なり、タイのスマートフォン市場は先進国に近い。そのようなタイ市場で「Android One」のローエンド端末が投入された。中古端末も大量に流通しているタイでは中古端末でもiPhoneは人気が高い。中古のiPhoneは150ドル程度から購入できる。Googleとしても中古のiPhone端末が若者らに浸透する前に安価な端末でAndroidユーザーを確保しておきたいだろう。

「Android One」は、「次の50億人(next five billion)」へのスマートフォン普及に向けて、アジアを中心とした新興国で着実に拡大してきているが、低価格をウリにしている「Android One」がタイでどこまで浸透するだろうか。

▼タイの大学では学生のほとんどがスマートフォンを利用している。

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▼GoogleのタイでのAndroidスマートフォン紹介の動画には日本語で「コオロギ」と音声認識で聞いているシーンがある。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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