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U-Mobile音楽聴き放題「USEN MUSIC SIM」:差別化が求められてくるMVNO

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

ここ最近、MVNOという言葉を家電量販店や町の中など、あちこちで見かけるようになった。それだけ多くの企業がMVNOに進出してきており、「格安SIM」というのもユーザーにとっても馴染みの言葉になってきたことの証だろう。逆にMVNOが多く登場することによって、ユーザーはどのプランがお得で、何が差別化なのか、わからなくなってきつつある。

そのような中で、U-NEXTはMVNOサービス「U-mobile」ではUSENの音楽配信サービス「スマホでUSEN」をセットにした「USEN MUSIC SIM」の提供を2015年9月1日から開始する予定だ。

「USEN MUSIC SIM」は、U-mobileの「通話プラス LTE 使い放題」プランと、USENの「スマホでUSEN」をセットにしたプラン。「スマホでUSEN」では、最新のJ-POPや懐かしの洋楽、JAZZクラシックなど様々な音楽や英会話、トーク番組など1,000チャンネル以上がスマートフォンで視聴できる。

■格安SIMでも内容は充実:差別化が求められてくるようになるMVNO

格安SIMを提供するMVNOは最近多く登場してきた。値段もほとんど変わらない、利用しているネットワークは多くがNTTドコモだから大差がないとなると、利用者はどれが自分にとって最適なのか選ぶのがわからなくなってきている。

MVNO大手のU-NEXTが提供している「U-mobile」はUSENの提供している音楽配信サービス「スマホでUSEN」とコラボレーションしたSIMカードを提供して、利用者は「USEN MUSIC SIM」を購入することによって、USENが提供するコンテンツを楽しむことができる。

U-MobileはUSEN以外にも多くの企業や雑誌の企画ともコラボレーションして格安SIMの販売を行っており、2015年6月末までに、契約数は半年間で約2.2倍となる38万回線となった。

今後は「格安SIM」といっても価格面だけでは、もはやユーザーは魅力に感じなくなってしまう。MVNOが「安い」だけを連呼する時代は終わる。このような何かしらユーザーにとっても、お得で魅力あるサービスやプランとセットで提供されてくることだろう。つまりMVNOにとっても差別化が求められている。「格安SIM」で料金だけを前面に出しているMVNOは体力勝負となってくるであろうから、淘汰されてしまう可能性がある。今回のU-Mobileの取組みは今後、日本のMVNOにとって1つの試金石となるのではないだろうか。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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