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Google「Android One」スマホ、ようやくアフリカ市場にも登場

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Googleは新興国を中心にまだスマートフォンを持っていない「次の50億人(next five billion)」を対象に、低価格なスマートフォンを提供することを目指して、2014年6月に「Android One」OSを発表した。「Android One」OSを搭載したスマートフォンは2014年9月からインドでの販売を皮切りに、アジアの新興国で次々と地場メーカーから約100ドル程度で販売されている。

そして、ついに「Android One」スマートフォンがアフリカでも販売されることになった。ナイジェリア、ケニア、モロッコ、コートジボワール、エジプト、ガーナの6か国で販売される。香港に本社を置いているInfinixから「Hot 2」というスマートフォンが約87ドルで販売される。同社はアフリカでの販売チャネルがあり、アフリカ諸国ではよく販売されている。ナイジェリアでは現地の通信事業者MTN、eコマースサイト「Jumia」とも提携して販売していく。

(「Android One」スマートフォン「Infinix Hot2」)
(「Android One」スマートフォン「Infinix Hot2」)

■Googleも未開拓の人口11億人超の「アフリカのモバイルインターネット市場」

今回の6か国で人口は約4億人と非常に巨大な市場である。Googleのリリースによると、アフリカでは2015年末までに、23%しかモバイルからのインターネットにアクセスしていないとのこと。それでも2014年末までは15%だった。そして2017年末までには40%がモバイルからインターネットにアクセスできるようになると予測されている。

アフリカでは人口が11億人を超えている。携帯電話もだいぶ普及してきているが、それでもアフリカでの携帯電話の「ユニークユーザー数」は2014年で約3億4,700万人である。つまり、まだ携帯電話を所有していない人の方が多い。Googleとしてはまだこれから開拓の余地がある地域である。一方で格差が激しいので、高級なスマートフォンを所有している人も多数見かける。

今回のInfinixから販売される「Hot 2」は87ドルで、中古のスマートフォンも多いアフリカでは高級なハイエンド端末である。例えば、今回ナイジェリアでは通信事業者MTN、eコマース「Jumia」と提携して販売するが、ナイジェリアでキャリアショップやeコマースを利用しているのは富裕層で既にスマートフォンを所有している人が多い。

Googleが「Android One」を発表して、約1年が経ち、ようやくアフリカ市場に進出してきた。アフリカの人口11億人以上で、これからもまだ増加が予想されている。まだモバイルでのインターネットアクセスの開拓がこれからのアフリカは、Googleとしてもなんとか押さえたい地域である。

Googleとしてはインターネットにアクセスして、Googleのサービスを利用してもらわないと収益にならない。そしてまずはインターネットにアクセスできる手段としてスマートフォンを利用してもらう必要がある。今でもアフリカでは30~50ドル程度のノキアのローエンド端末が人気である。それらの端末でも通話やSMS以外に、WhatsAppなど人気のメッセンジャーアプリやFacebook、Twitterなどインターネットのサービスが利用できる。それではGoogleにとってはほとんど収益にならない。これからGoogleはアフリカで、もっと格安の「Android One」スマートフォンを登場してくるだろう。

(▲主要な「Android One」スマートフォン販売国。公開資料を元に作成)
(▲主要な「Android One」スマートフォン販売国。公開資料を元に作成)

▼今回アフリカ6か国で販売されるInfinixの「Android One」スマ―トフォン「Infinix Hot 2」

アフリカではかなりのハイエンドな端末である。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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