パナソニック、インドネシアの電気がなかった小学校に「パワーサプライコンテナ」設置で電力供給
パナソニックは、インドネシアの西部ジャワ州バンドン県バンジャルサリ村のマラバル公立第四小学校に、山間部地域の教育環境改善を目的として、同社が開発した太陽光独立電源パッケージ「パワーサプライコンテナ」を設置した。
標高約1,500メートルに位置するバンジャルサリ村は、電力会社による電化が行われたエリアだが、このマラバル公立第四小学校は半径1~2キロメートルほどの茶畑の中にあり、32年間、無電化状態が続いていた。「無電化状態」、つまり電気が通ってないことだ。そのため、学校では一般的なパソコンなどのITを活用した教育環境が十分に整っていなかった。
■電力のなかった小学校に「パワーサプライコンテナ」で電力供給
パナソニックは、在インドネシア日本国大使館の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を活用した官民連携プロジェクトを通じて、2015年7月に「パワーサプライコンテナ」をそのマラバル公立第四小学校に納入した。これによってLED照明や学校の電気設備やパソコン、プロジェクター、テレビなどの教育ツールに対する電源を供給することができるようになった。このような日本にいては当たり前に利用できる設備や環境を電気がないと利用できないものが非常に多いことに気が付く。我々の教育や生活がいかに電力に依拠しているかがわかる。
「パワーサプライコンテナ」は、パナソニック製の太陽光パネルや蓄電池を活用した独立電源パッケージで、授業のある時間帯は、「パワーサプライコンテナ」から教室の電気設備に電力を供給し、照明器具の点灯やパソコンやテレビを活用した視聴覚教材の提供ができるようになり教育環境の改善が期待されている。
また、授業の無い時間帯には、「パワーサプライコンテナ」の運用組合を通じて、学校内での電力多目的利用を行うことで、維持にかかる管理費を徴収し、地域コミュニティの活性化や地域の電力インフラ課題の改善に貢献できる。運用組合とは「パワーサプライコンテナ」を管理・運用する組織だ。メンテナンスやバッテリーの交換に必要な費用を「パワーサプライコンテナ」で発電した電力を売電することで捻出し継続的な運用を担っていく。
(参考動画)
■世界中の無電化地域で求められる
今回、パナソニックがインドネシアで「パワーサプライコンテナ」を提供したのは、2回目だ。今後もパナソニックでは、無電化地域への安定した電力の供給や停電多発地域のバックアップ電源、災害時における緊急電源などの社会的課題の改善を行い、インドネシアだけでなく、電力インフラに課題がある新興諸国において、より豊かで快適な生活を実現していく予定だ。
インドネシアは経済が急成長しており、ジャカルタのような大都市では夜でも煌々と電気がついており、電力が不足するというエリアは少ない。一方で、ジャカルタと同じジャワ島でもまだ電力が行き届いておらず、学校での教育環境が十分でないところも存在している。そしてインドネシアだけでなく世界中には、まだ電力が行き届いてない地域がたくさんある。これからもまだまだ「パワーサプライコンテナ」を必要とされている地域は世界中で非常に多く、設置が期待されている。
そして『電気があることが当たり前の生活』がいかに恵まれているかが理解できる。
▲今回の「パワーサプライコンテナ」は安定した電力供給という品質を確保するため、量産型の製品として開発されており、さらに現地での専門工事作業が不要なため、一般の電気工事会社でも簡単・スピーディに設置ができるように設計されている。
▲2015年7月にプロジェクトのパートナーである、インドネシアのNGO団体のFEDUsと共同で引き渡し式を開催した。NGO団体のFEDUsは、マラバル公立第四小学校やバンジャルサリ村内にて電力供給の自立的運用が可能な運営管理組織の設立支援を行い、運用・管理・維持に関する研修や支援を実施することで、サスティナブルな電力供給運用を目指していく。
▲また、このマラバル公立第四小学校では、水道の供給も不安定だったが、このプロジェクトの中で、貯水槽とポンプを設置することで学校内の給水環境も改善された。電気と同じように『水道があることが当たり前の生活』もまた、いかに恵まれているかが理解できる。