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インドネシアのバイクタクシー「GoJek」にGoogleが投資?

佐藤仁学術研究員・著述家

インドネシアで2010年から「バイクタクシー」のサービスを提供しているGoJekにGoogleが投資するのではないか、とインドネシアでは噂になっており、連日報道されている。Googleの職員がGoJekのオフィスを訪問しているのが見かけたということが噂の発端らしい。

インドネシアの首都ジャカルタは「世界の駐車場」と言われるほど渋滞が酷い。自動車で移動していたら、時間通りに到着することは難しい。そこで現地では昔から「オジェック(OJEK)」と呼ばれるバイクタクシーが一般的な移動手段で存在している。ショッピングセンターやデパート、オフィス街の入り口や駐車場近辺には、客待ちをしている「オジェック(バイクタクシー)」が非常に多い。だいたい5,000ルピア(約50円)から乗れる。もちろん目的地までの距離、荷物の量、雨が降っているかいないか、時間などに応じて料金は異なり、乗る前に運転手と交渉する。

■ジャカルタでたくさん見かけるようになったGoJek

「Go-Jek」は2010年から「バイクタクシー」のサービスをジャカルタで提供している。スマートフォンのアプリで探して申込みを行うものだ。Uberのバイク版のようなものである。そのGoJekアプリの中でGoogleマップを利用しており、利用者はGoJekアプリの中のGoogleマップから近くにいるバイクを選んで利用する。そのようなこともGoogleがGoJekに投資するのではないか、という噂の要因にもなっている。

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GoJekではバイクでの人の移送だけでなく、100万ルピア(約1万円)までの買い物をして届けるサービスからケータリング、荷物の宅配バイク便もやっている。現在、ジャカルタ近郊で約10,000台のバイクで営業している。最近ではジャカルタで頻繁に緑色のジャンパー、ヘルメットを着用したGoJekのバイクを見かけるようになった。

インドネシアでは急速にスマートフォンが普及しており、ジャカルタでは多くの人がスマートフォンを利用している。GoJekのアプリは使いやすく、ドライバーと電話やSMS(ショートメッセージ)での連絡もできる。GoJekはさらにバイク搭乗者に、ジャカルタの渋滞道路では必需品のマスクをくれるのも人気がある。

「急成長しているGoJekに、Googleが注目している可能性が高いから投資するのではないか」という噂がインドネシアで大きなニュースになるのも頷ける。

■慣れない日本人は自動車での移動がお勧め

交通渋滞の酷いジャカルタでは自動車よりもバイクの方が利便性が高く、効率的である。例えばUberやグラブタクシーがサービスを提供しているが、スマートフォンのアプリ上ではすごく近くに車がいるはずなのに、渋滞のせいでいくら待っていてもやって来ないことが多いが、バイクはすぐにやってくる。

また、従来からある「オジェック(OJEK)」のバイクタクシーに乗るのはドライバーとの料金交渉などが面倒だったが、GoJekは明瞭である。但しGoJekのバイクの運転手も英語を話せない人が多いので、日本人や現地に住んでいる外国人にとってはまだ少しハードルが高い。

またジャカルタは全ての道が舗装されているわけではない。道路はバイクだけでなく自動車も多く、バイクは非常に密接して走行するので決して安全とは言えない。また暑いインドネシアで見知らぬ人のヘルメットを被って移動するのは嫌だという人もいるだろう(GoJekではマスク以外にも髪をカバーする被り物もくれる)。インドネシアに慣れていない日本人は渋滞に巻き込まれようとも自動車で移動する方が良い。

GoJek

(一般のOJEK乗り場。ドライバーと交渉してからバイクに乗る)
(一般のOJEK乗り場。ドライバーと交渉してからバイクに乗る)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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