イスラエル政府、GoogleとFacebookにパレスチナ作成の「テロを誘発する動画」の削除を要請
ここ数カ月、イスラエルとパレスチナの衝突が激化している。2015年10月9日にはパレスチナ自治区ガザ地区で反イスラエルデモに参加していた市民約200人がイスラエル軍に銃撃され、5人が死亡されたと報じられている。パレスチナ系住民がイスラエルのユダヤ人一般市民や治安部隊を襲撃する報復も懸念されている。エルサレムでは市長がユダヤ人住民に常時銃を携帯するように指示するなど、現在イスラエルとパレスチナ双方の対立感情はかなり高まっている。
■ソーシャルメディアによるテロ誘発に向けた多くの情報発信
パレスチナのハマスはFacebookやYouTubeなどのソーシャルメディアを通じて10月9日の事件を「怒りの金曜日」と呼び、イスラエルとパレスチナ全土で攻撃を仕掛けるよう呼びかけている。多くの呼びかけがソーシャルメディアを経由して行われている。パレスチナでもイスラエルでもスマートフォンはすでに普及しており、多くの人が所有しているうえに、コンテンツをアップするのに規制がないので、情報発信のツールとしては非常に効果的である。パレスチナにいる市民向けだけでなく全世界に対してアピールしている。そしてそれらテロを誘発する動画はFacebookなどのソーシャルメディアを通じて多くの人に拡散されていく。
感情や思想に訴える動画以外にも、具体的な襲撃の仕方をレクチャーした暴力的な動画や、中にはアニメで作成されたものもあり、子供にも「反イスラエル感情」によるパレスチナ人の行動の正当化を植え付けるような内容の動画も多くある。
■イスラエル政府は動画削除を要請
そのような状況でイスラエル政府は、YouTubeを傘下に持つGoogleとFacebookに対して、パレスチナが作成してアップしている「テロを誘発する動画」の削除を要請している。すでにいくつかの動画はYouTubeからは削除されているようだが、非常に多くの動画がアップされている。
GoogleもFacebookもイスラエル政府からの要請に対しての具体的なコメントは控えているが、GoogleのPaul Solomon氏は「Googleでは暴力的な内容、ヘイトスピーチ、残虐なシーンなどの不適切な内容の動画は禁止という明確なポリシーを持っている」とコメントしている。
暴力的な動画を削除しても、イスラエルとパレスチナの問題の根本的な解決にはならないが、インターネットからの削除はたしかに一時的には効果があるかもしれない。
但し、動画は何回でもアカウントを変えたりしてアップされてしまうことが多い。またそのようなコンテンツはものすごく多く存在しており、検索しただけでも多くのコンテンツが見つかるため全てのコンテンツを削除することは難しいだろう。