インドのスマホメーカーMicromax、音楽配信Gaanaに出資:インドでも拡大するスマホで音楽
インドのスマートフォンメーカーのMicromaxは、インドで最大の音楽配信サービスGaanaに出資したことが明らかになった。具体的な出資金額は公開されていない。Micromaxはインドの地場メーカーで、携帯電話、スマートフォンの製造、販売を行っており、インド人なら誰もが知っているブランドである。今回の出資で、MicromaxのスマートフォンにGaanaのアプリがプレインストールされるようになる。
Gaanaはインド最大の音楽配信、ストリーミングを提供しており、2,000万人のアクティブユーザーがおり、45言語に対応して1,000万曲ある。すでに3,000万以上がダウンロードされている。Micromaxとの提携によって、Gaanaはインドで1億人の利用者獲得を目指している。2015年5月にはパキスタンからのハッカーによってGaanaの利用者データベースがサイバー攻撃を受けたことでも有名になった。
■インドのスマホのトラヒックの半分以上が音楽か動画
インド人は音楽が大好きだ。街のあちこちで音楽を聴いている。歩きながらでもイヤホンを耳にしている人も多い。
Micromaxの共同創設者のRahul Sharma氏によるとインドの若者は1日のうち2-3時間はスマートフォンで音楽を聴いているので、Gaanaとの提携はMicromaxにとっては大きなチャンスであると自信をのぞかせた。また、Deloitteの調査によるとインドでのスマートフォンの通信トラヒックの半分以上が音楽のストリーミングか動画だ。Nokia Networksによるとインドではスマートフォンがまだ普及途上であるが、2014年にインド人が1か月にモバイルで使用しているデータ量は680MBで、2013年の532MBから大きく増加している。
スマートフォン向けの音楽配信サービスは、老舗のSpotifyのほかにGoogleやAppleも参入し、インドだけでなく世界規模で競争が激しくなってきている。インドではiPhoneは高価で庶民は簡単に購入できないが「Apple Music」は月額120ルピー(約240円)と欧米や日本の4分の1である。
■年間2億6,000万台以上のインドのスマホ市場。価格と機能で差別化を出すのは難しい
インドで2014年に1年間で出荷されたスマートフォンは2億6,000万台以上である。全世界でのスマートフォン出荷が約13億台だったので、約20%がインドで出荷されている。インドでは他にも中古のスマートフォンも大量に流通している。Micromaxは1か月に300~400万台のスマートフォンを出荷している。IDCの調査によると、2015年Q2の出荷シェアは1位のサムスン23%に次いで、Micromaxは2位で17%のシェアを占めている。100~150ドルのミドルエンド端末が中心であるが、最近では50ドル程度の端末も投入してきている。
インドにはMicromax以外にもIntexやLavaなどインドのメーカーが多く存在している。また中国からも多くのメーカーが参入している非常に競争が激しい市場である。Micromaxだけでなく、他のメーカーも端末の価格と機能で差別化を出すのは難しい。もはやどのスマートフォンでも出来る機能は同じであり、人々は価格が安い物を求める傾向にある。そのためメーカーには何かしらの付加価値が求められている。
Micromaxがコンテンツ企業に出資するのはGaanaが初めてではない。旅行サービスのIxigo、ヘルスケアのHealthifyMe、価格比較サイトのScandidにも出資し、ユーザーの満足向上と新たな収入源確保に向けたサービスの拡大を行っている。
メーカーとしても薄利多売のスマートフォン製造と販売だけでは、いずれ立ち行かなくなることも理解しており、資金にゆとりがあるうちに事業を多角化しておきたい。