暴力的なページを削除してないイスラエルのFacebookへ「落書き」で抗議:ネタニヤフ発言で続く緊張
イスラエルとパレスチナの間で緊張が続いている。パレスチナ側がイスラエルへの暴力を助長するようなコメントや呼びかけをFacebookやTwitterなどソーシャルメディアで多く発信されている。なかには殺人やテロのやり方を伝授したような書き込みもある。イスラエル政府はFacebookとGoogleに対して、パレスチナ人が作成した暴力的な動画や書き込みを削除するように依頼していることは先日伝えた。
ところがFacebookで暴力的な書き込みが削除されていないということで、イスラエルのテルアビブにあるFacebookのビルに「抗議の落書き」がされた。2015年10月17日の夜に「Blood on your hands」と「Stop_FB_Terror」とビルの柱に手形とともに赤字で落書きされていた。抗議の落書きをしたRotem Gez氏は落書きをしたことと、その目的を認めている。
■ネタニヤフ首相の「ホロコーストはパレスチナ人の進言」発言
イスラエルのネタニヤフ首相は2015年10月20日、エルサレムで開かれたユダヤ人団体の会合で、ヒトラーは1941年にパレスチナ人の宗教指導者ハッジ・アミン・フサイニ師に会うまで、ユダヤ人絶滅を考えてなかったとコメントした。ヒトラーは当時、ユダヤ人を追放したがっていたが、欧州から追放されるとパレスチナの土地にユダヤ人が来てしまうことを恐れたハッジ・アミン・フサイニ師がヒトラーに「ユダヤ人は焼き殺せ」とアドバイスしたとのことだ。つまり、ヒトラーはパレスチナ人の進言、入れ知恵によってユダヤ人絶滅という行動に移したとネタニヤフ氏は強調した。
このネタニヤフ首相の発言はイスラエルだけでなく、欧米でも大きく取り上げられている。野党をはじめユダヤ人ですら驚嘆、反発している人が少なくない。これに一番大反発しているのは、パレスチナ人であり、イスラエルとパレスチナ間での緊張は今まで以上に高まっている。もはやFacebookへの書き込みを削除すれば沈静化されるレベルではないようだ。
■情報通信技術は中立的
インターネットの発達とスマートフォンの普及、ソーシャルメディアの発展によって、日常生活のコミュニケーションのツールやインフラとなった。それらを通じて誰もが簡単に自分の意見を述べる、情報発信を行えるようになった。但し、インタ―ネットやスマートフォンなどの情報通信技術自体は、政治的に中立である。武装組織や個人が宣伝する暴力的なメッセージを改変もしないし、誇張もしない。情報通信技術は、それを利用する者の意図のよって政治的な意味が変わるだけなのだ。