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Google翻訳アプリ、スマホをかざすだけで英語・ドイツ語からアラビア語に翻訳:急増する難民への対応

佐藤仁学術研究員・著述家

Googleは2015年10月14日、Google翻訳アプリでスマートフォンを英語またはドイツ語の文字にかざすとアラビア語に翻訳する機能を追加した。アプリの中でカメラを起動して、英語またはドイツ語の文字や看板などにかざすことで自動でアラビア語に翻訳する。かざした英語やドイツ語の文字が、スマートフォン上でアラビア語に表示される。利用するためには2MB程度の言語パックのインストールが必要となるが、インターネットへの接続も不要でリアルタイムに翻訳される。

スマホをかざすだけでドイツ語をアラビア語に変換するGoogle翻訳アプリ
スマホをかざすだけでドイツ語をアラビア語に変換するGoogle翻訳アプリ

■難民急増で「ドイツ語-アラビア語」翻訳の利用者が5倍以上増加

2015年だけで、80万人~100万人以上がドイツへ移民・難民として入って来ることが予測されている。その多くがシリアやイラクなど中東からのアラビア語を話す。2015年9月にはGoogle翻訳での「ドイツ語-アラビア語」の利用者が今までの5倍以上も増加していることをGoogleは明らかにした。Googleでは、「ドイツ語-アラビア語」で正しい翻訳ができるようにGoogle翻訳の改善に向けて、専用サイトを作成して、協力を呼びかけていた。英語からドイツ語やフランス語などへの翻訳と違って、アラビア語との翻訳は非常にハードルが高い。そして、今回のスマートフォンをかざすだけで、英語とドイツ語のテキストをアラビア語に翻訳する機能をアプリに追加した。

現在ドイツにいる移民や難民は、ドイツ語はできなくとも多くの人がスマートフォンや携帯電話を持っている。ドイツテレコムによると、ドイツにいる難民の80%がスマートフォンを所有している。彼らはその場で理解できないドイツ語を打ち込んで翻訳をしたり、自分の伝えたい言葉や表現を打ち込んでドイツ語に訳している。

今回のGoogle翻訳のスマートフォンをかざすだけで翻訳する機能は、まだテキストや単語のみへの対応で複雑な文章の翻訳はできないようだが、それでもドイツでの生活の一助にはなるだろう。

ドイツの難民や移民向けのSIM販売も行うネットカフェ
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学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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