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Amazon、新型ドローン「Amazon Prime Air」で配送可能な家庭はどのくらいあるのか

佐藤仁学術研究員・著述家
(Amazon)

Amazonは2015年11月29日に、プライム会員向けに予定しているドローンでの配達「Amazon Prime Air」の動画を公開した。このドローンはプライム会員向けに重さ約2.3kgまでの商品を30分以内に届ける予定。以前にAmazonが公開したドローンよりも大型化されており、最高速度は約88km/h。地上から約122mを飛行するこのドローンが往復可能な距離は約24kmだそうだ。

米連邦航空局(FAA)はドローンの商業利用の最終報告は2016年前半に決定される予定なので、ドローンによる配送の商用化はそれ以降になる予定。Amazonではアメリカ以外では、イギリスとイスラエルにも「Amazon Prime Air」の開発センターを設置して、いくつかの国でドローンの飛行試験を行っている。

■ドローン着陸のために庭には専用の着陸スペース

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ドローン着陸の専用スペースが庭に必要
ドローン着陸の専用スペースが庭に必要

オフィスや密集した住宅街へのこのドローンによる30分以内の配達は期待できなさそうだ。

動画を見てみると、広大な草原や森の上空をドローンが飛行している。そして典型的なアメリカの地方の大きな住宅の広い庭にドローンが着陸する。これだけ大きなドローンが配達してくれるのだから、ドローンが着陸するための広い庭が必要になるだろう。動画の中でも周囲には、ドローンの飛行障害になりそうな木や電線などがほとんどないような芝生の綺麗な庭で、しかも「ドローン着陸専用スペース(Delivery Zone)」に着陸する。アメリカの地方では周囲に障害物がない「ドローン着陸専用スペース」を設置できる家庭もあるだろうが、ドローンによる30分以内の配送のために、これだけの着陸スペースを自宅の庭につくるのだろうか。アメリカでも今まで通りに運送屋が配送してくれるのを待っている方がいいと思ってしまう人も多いのではないか。

そして「Amazon Prime Air」の特徴の1つである30分以内の配達だが、ドローンの飛行距離が24kmということは、配達先はAmazonの配送センターから半径24km以内である必要がある。果たしてプライム会員向けドローン「Amazon Prime Air」の配送可能な家庭はどのくらいあるのだろうか。

▲Amazonのプライム会員向けに予定しているドローンでの配達「Amazon Prime Air 」の動画を説明しているのはジェレミー・クラークソン

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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