Facebook「2015年は素晴らしい年だった」売上の80%がモバイル広告
Facebookは2016年1月27日、2015年第4四半期(10~12月期)と通年の業績を発表した 。Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2015年12月時点、全世界で前年同期比で17%増の10億4,000万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、2015年12月時点、全世界で同14%増の15億9,000万人だった。
Facebookの広告売上の80%はモバイル
モバイルからのDAUは25%増の9億3,400万人、モバイルのMAUは21%増の14億4,200万人だった。モバイル端末からのみアクセスするMAUは前年同期比13%増の8億2,300万人だった。つまり、モバイルのみでしかFacebookを利用していない人の方が多い。モバイルでの広告売上高は広告売上高全体の約80%を占めている。Facebookの利用が全世界的にモバイルが中心であることがわかる。
▼Facebookの地域別MAUと比率(2015年Q4)
Facebookの売上に占める広告は96.5%
売上高は前年同期比52%増の58億4,100万ドルで、そのうち広告売上高が57%増の56億3,700ドルと売上全体の96.5%が広告収入である。そして広告売上高全体に占めるモバイル向け広告が約80%と大幅に拡大したものの、ソーシャルゲームのアプリ課金手数料などによる売上高は21%減の2億400万ドルとなり、まさにモバイルでの広告収入がFacebookの財務を支えている。
そして広告の売上のうち50.5%と半数を占めているのが、利用者の比率は14%の北米市場である。1人あたりの収入も北米市場が圧倒的に多く、利用者が急増しているアジア太平洋地域や途上国などその他の地域と比較すると約10倍とFacebookの売上高は北米市場に依拠している。北米での広告収入の拡大と平行して、利用者が急増している新興国での売上の確保が課題である状態はずっと続いている。
完全無料化にした9億人以上が利用している傘下のメッセージアプリ「WhatsApp」
Facebookでは傘下のメッセンジャーアプリで全世界で9億人以上が利用しているWhatsAppを2年目以降も無料にすることを2016年1月18日に、WhatsAppのジャン・コウムCEOが明らかにした。WhatsAppは1年目は無料だが2年目以降は0.99ドルかかる。しかし実際には世界中で多くの人が2年目以降も払わないで利用していたのだろう。仮に全世界で9億人の人が2年目に0.99ドル支払っていたら、毎年最大9億ドルの収入があっただろうが、WhatsAppはFacebookの収益に大きな貢献はしていない。
FacebookとしてはWhatsAppでの収益は期待していないのだろう。むしろ全世界で9億人以上が利用しているメッセージのプラットフォームから情報を収集して学習することによって、ユーザへ適切な広告を配信することの方が毎月0.99ドルを徴収するよりも効果的と考えているのだろう。
▼Facebookの地域別広告売上と比率(2015年Q4)
▼Facebookの地域別1人当たりの収入(2015年Q4)
「2015年はFacebookにとって素晴らしい年」
FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は「2015年はFacebookにとって素晴らしい年だった」("2015 was a great year for Facebook.”)とコメントしている。通期の売上高は前年比44%増の179億3,000万ドルだったことから、さぞかし素晴らしい年であることは理解できる。そして、これからも多くの分野に投資していくことを明らかにした。
さらにザッカーバーグ氏は自身のFacebookページで、2015年を振り返って、新興国で現地通信事業者と提携して無料でネットにアクセスできる「Internet.org」を通じて、今までネットにアクセスしたことがなかった1,900万人が初めてネットにアクセスしたことを明らかにした。この新興国の1,900万人もFacebookにとっては広告収入の重要な顧客基盤だ。