モバイル広告が売上の80%を占めるFacebook、モバイル向け全画面表示「Canvas広告」開始
Facebookは2016年2月25日から、Facebookのモバイルでの全画面広告「Canvas」が正式に開始し、世界中の広告主が「Canvas」広告に出稿できるようになった。
モバイルでの全画面広告「Canvas」
Canvas広告は、Facebookのモバイル版(スマートフォンのiOSとAndroidに対応)でニュースフィードに表示されている広告画像をタップすると、スマートフォンの全画面に広告が表示されるもの。
Facebookによると、トライアル時にCanvas広告が表示された平均時間は31秒で、70秒以上表示されたこともあった。また、ユーザーの53%以上が、一度開いたCanvasの半分以上を視聴したそうだ。ハンバーガーショップWendyではCanvas広告で、チーズバーガーを材料別に分けて表示してみたところ、広告は平均視聴時間65秒で、ユーザーの2.9%は広告を最後まで見て、Wendyの店舗検索をした。トライアルで物珍しいから見た人も多いだろうから、実際にCanvas広告が主流になったら、果たしてそこまでユーザーが広告を表示するかどうかは不明だ。
世界中のほとんどの人がFacebookの利用はモバイルから
Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2015年12月時点で全世界で10億4,000万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は全世界で15億9,000万人だった。
さらに、モバイルからのDAUは25%増の9億3,400万人、モバイルのMAUは14億4,200万人だった。モバイル端末からのみアクセスするMAUは8億2,300万人だった。つまり、モバイルのみでしかFacebookを利用していない人の方が多く、Facebookとしてはモバイルはもはや無視できない。
Facebookの売上に占める広告は96.5%、そのうち80%がモバイル
今回のCanvas広告はユーザーにとっては、特に大きなインパクトのあるものでもないかもしれない。だが世界中で15億人以上の人が利用している世界最大規模のメディアであるFacebookは売上の96.5%を広告に依拠し、そのうち80%がモバイル広告である。
Facebookは2015年1年間の売上高は前年比44%増の179億3,000万ドル(約2兆円)だった。とんでもない規模の売上である。そのうちモバイル広告が広告売上高全体の約80%を占めており、まさにモバイルでの広告収入がFacebookの財務を支えている。そのためCanvas広告はFacebookとしても重要な広告出稿のツールの1つである。
一方で、広告の売上のうち50.5%と半数を占めているのが、利用者の比率は14%の北米市場である。1人あたりの収入も北米市場が圧倒的に多く、利用者が急増しているアジア太平洋地域や途上国などその他の地域と比較すると約10倍とFacebookの売上高は北米市場に依拠している。Canvas広告の作成にコーディングやデザインのスキルは必要なく、広告主が簡単に作成して出稿できることもウリにしている。
新興国でも格安のスマートフォンが大量に普及するに伴って、Facebook利用者は拡大しつつあり、そのほとんどがモバイルからのアクセスである。Facebookとしてはそのような新興国においても、Canvas広告を通じて多くの広告主に出稿してもらい、ユーザーが広告にリーチすることによって、利用者の増加だけでなく広告収入増につなげていきたいところだ。
▼Facebookの地域別広告売上と比率(2015年Q4)
▼Facebookの地域別1人当たりの収入(2015年Q4)