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米国ニュージャージー州で道路横断中の「歩きスマホ」は「50ドル罰金または15日間拘留」の法案を提出

佐藤仁学術研究員・著述家

アメリカのニュージャージー州で、道路横断中に「歩きスマホ」をしていたら、50ドルの罰金か、最大で15日間の拘留を課す法案が提出されるそうだ。議員のPamela Lampitt氏らが中心になって進めている。法案が可決されたら、ニュージャージー州で道路を横断している時に「歩きスマホ」をしていたら50ドルを罰金として取られるか、最大で15日間警察署でお世話にならないといけなくなるかもしれない。

アメリカで「歩きスマホ」での交通事故と増加する死亡者

日本だけでなく、アメリカでも多くの人が「歩きスマホ」をやっている。アメリカに行くと大都市であれ地方であれ、町を歩いている人のほとんどがスマホを見ている。

ニュージャージー州のウィリアム・パターソン大学のCorey Basch氏は20,000人の歩行者を調査したところ、3人に1人が横断歩道で青で通行する時に「歩きスマホ」をしており、さらに40%が信号が赤なのに「歩きスマホ」をしながら横断歩道を渡ろうとしていたそうだ。さらに「歩きスマホ」をしている人のほとんどがイヤホンをしており、自動車が接近してくる音に気が付かないで非常に危険であると指摘している。アメリカでは2010年には4,000人が「歩きスマホ」で自動車事故で死んでおり、7万人以上が怪我をしている。2012年には78,000人に増加している。

今回、法案が提出されたニュージャージー州では2000年から2011年までの11年間で「歩きスマホ」で怪我や事故に巻き込まれた人が11,100人もおり、そのうちの80%以上が40歳以下の若者だったことから、大きな問題になっている。罰金50ドルまたは拘留最大15日という罰則を設けない限り「歩きスマホ」での交通事故が減らないと考えたのだろう。

そして車を運転している方から見ると「歩きスマホ」やイヤホンをしている人は非常に危険な存在だ。「歩きスマホ」している本人は「自分は車の存在に気が付いているから大丈夫」と思い込んでいるのだろうが、車を運転している人は「ちゃんと車の存在に気が付いているのだろうか」と不安になるし、さらに「歩きスマホ」をしている人は神経がスマホに行っているので、道路での歩行が予測不能で非常に危険である。

イヤホンで通話している歩行者も多いアメリカ

ニュージャージー州だけでなく、アメリカのあらゆる所で多くの人が「歩きスマホ」をしており、交通事故が絶えない。

アメリカでは「歩きスマホ」だけでなく、イヤホンをしながら通話しながら歩いている人がとても多い。スマホでイヤホンマイクで通話ができるようになってから、多くの人が歩行中にイヤホンをしながら話している。かつてアメリカだけでなく世界中で「歩きながら喋っている人は要注意人物」とみなされていて、その人の周りには誰も近寄らなかったが、現在ではイヤホンをして話ししながら歩いている人を見かけることは普通であり、それは決して怪しい人ではない。

ただイヤホンをして歩くのも、神経は会話に集中してしまうので、事故に巻き込まれやすく、非常に危険である。また会話の中身が全て周囲の人に聞かれているのに仕事やプライベートな話をしている人も多いのも問題と思うが、信号待ちの時には、うるさいからやめてもらいたい。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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