ユニセフ、難民の子供の実話をアニメ化してSNSで発信『Unfairy Tales(現実の物語)』
ユニセフ(国連児童基金)は2016年3月29日、世界規模で移動する数千万人もの子どもたちや若者に対する前向きな見方を促すためのアニメーション映像を発表した。
「Unfairy Tales(現実の物語)」を動画や電子書籍で配信
「Unfairy Tales(現実の物語)」と題した、紛争から逃れる子どもたちの実話を描いた3編のアニメは、なぜ子どもたちが逃れているのか、 その背後にある恐怖を明らかにしている。物話風にアニメ化されたこれら3編は、同じく「Unfairy Tales」と題する対話型の電子書籍でも登場する予定。
これらのアニメは、「#actofhumanity(人道的な行動を)」イニシアティブの一環で、どこから来た子どもであろうと、子どもは子どもであるということ、またすべての子どもは権利を持ち、公平な機会を与えられるべきであるということを強調している。
▲「マラクとボート」は、水漏れするボートで旅をする少女の物語で、ユニセフが制作した3つのアニメはすべて実話に基づいている。
全て実話に基づいているアニメ、ユニセフはSNSで呼びかけ
ユニセフでは、ソーシャルメディアのメッセージを通して視聴者に働きかけ、さらに多くのアニメを制作する予定。ユニセフはさらにハッシュタグ(#actofhumanity)を使ってそのストーリーを共有し、難民の子供らが置かれている現状について理解して欲しいと、呼びかけている。
これらユニセフが制作してSNSで配信しているアニメや電子書籍は、決して架空の話でも、遠い昔の過去の話でもない。今まさに、現実に現代の世界で起きていることである。世界では少なくとも6,500万人の子どもたちや若者が、紛争、貧困、異常気象から逃れ、より安定した生活と家と呼べる場所を求めて移動しているそうだ。
特にシリアからの難民は昨日までは平和に暮らしていたのに、突然、明日死ぬかもしれないという恐怖と、これからどうしていけばいいのかという孤独感と不安に直面しなくてはならない状況に陥っている。そこには1つ1つの現実のストーリーがあり、それぞれがアニメの題材になりうるだろうが、実際にはアニメになんかならなくていいから、子供だけでなく大人も平凡だが平和な暮らしを望んでいる。
ユニセフの広報部長パロマ・エスクデロ氏は以下のように話している。
「世界のどこにいても、難民・移民の子どもたちが目的地に着いたとき、それは旅路の終わりではなく、さらなる旅の始まりなのです。毎日、至るところで、人々はささやかな人道的行動により難民・移民を支援しています。そのような行動はほとんど報道されませんが、個々の難民・移民の子どもの世界を一変させているのです。ユニセフは人々の行動を呼び起こし、前進への道を示すために、この『人道的な行動を』イニシアティブを紹介したいと思います。3人の子どもたちの物話は、珍しいものではありません」
▲「イビネとピロー」は、14歳のイビネさんと彼女の枕ピローの実話を描いている。シリアからの危険な避難を経てイビネさんはドイツの難民キャンプで暮らしているが、新たな問題に直面するばかり。
▲3つ目のアニメーションは、自宅から避難して友だちが一人もいなくなり、誰と友だちになればいいのかと問うムスタファくんの話を描いている。