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Google翻訳:スマホをかざすだけで翻訳する「Word Lens」中国語にも対応

佐藤仁学術研究員・著述家
スマホをかざして中国語を英語に訳している (Google)

Googleは2016年5月11日、Google翻訳の機能としてスマホを文字にかざすだけで翻訳を行う「Word Lens」で中国語に対応したことを明らかにした。

スマホをかざすだけでオフラインでも翻訳「Word Lens」

Googleは2014年5月に仮想現実翻訳アプリ「Word Lens Translator」の開発をしていた米国のQuest Visualを買収した。そして2015年1月には、Word Lensの技術を活用してスマホのカメラを看板などの文字にかざすと、翻訳された言語を即時にスマホに表示させるサービスをリリースした。ネットに接続していなくとも翻訳は可能で、英語とフランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・スペイン語での翻訳に対応していた。

2015年7月には27言語に対応し、2015年10月には急増するドイツでの難民の生活を支援するために、スマホをかざすだけでドイツ語をアラビア語に翻訳する機能をリリースした。2015年だけでは特にシリアを中心にアラビア語を使う難民や移民がドイツでは急増していることから、ドイツ語とアラビア語の翻訳利用者は5倍以上も増加した。

中国語にも対応し、ついに29言語

そしてついに世界で13億人、つまり一番多くの人が使っている中国語(簡体字および繁体字)に対応することになった。これでGoogle翻訳のスマホでかざして訳せる言語は29言語となった。まだ日本語には未対応である。Google翻訳の利用者は全世界で5億人以上を超えており、そのうち90%がアメリカ国外だそうだ。中国語やアラビア語などアルファベットでない言語は欧米の人にとっては不可解であろうし、勉強していない人にとっては辞書での調べ方もわからない。その点、スマホでかざすだけなら誰でもできる。

今回の「Word Lens」でスマホをかざすだけの「中国語と英語の翻訳」を一般の人が試している動画を見ると、従来のような看板などでの簡単な文字だけでなく、文章の一覧も訳しているようだ。但し、どの程度まで精度が高く翻訳できているのかは不明だ。これからも世界中の多くの言語を画像として読み取っていき、それらを記憶し学習することによって、翻訳の精度を更に向上させていくだろう。

まだ本格的な文書や難しい書類の翻訳などは厳しいだろうが、単語レベルの翻訳であれば、旅行に行った時の駅や道路の標識、レストランのメニュー読解などで役立つだろう。もう辞書や電子翻訳機が不要の時代が近くまで来ている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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