Yahoo!ニュース

米国、陸軍士官学校:卒業式の行進時に「歩きスマホ」?

佐藤仁学術研究員・著述家
(West PointのFacebook)

「ウェストポイント」の通称でお馴染みのアメリカの陸軍士官学校の卒業式が2016年5月に行われた。その時の卒業式の行進の様子がウェストポイントのFacebookページにアップされた。

画像

卒業式の行進中にスマホ操作?

行進曲に合わせて陸軍士官学校の卒業生たちが背筋を伸ばして行進をしているシーンの途中で、1人の女子学生がスマホのようなものを操作しているシーンが映し出された。実際にはスマホの操作なのか、何をしていたのかは不明だ。

1802年に設立された陸軍士官学校というアメリカ最古の士官学校という名門校であるために、卒業式の行進中に「スマホを操作していたのでは」ということで、その姿に批判的な意見が多く、ニュースにもなって取り上げられていた。たしかに陸軍士官学校の卒業式で、全員が前を見て行進している中、下を見ているだけで目立ってしまう。ましてウェストポイントは「Discipline(規律、修練)」のシンボルのようなところだから、それがスマホ操作の可能性があるならと批判的な意見が多いのも仕方ない。

スマホを持っていたら気になってしまうのが人間の性

陸軍士官学校のスポークスマンのChristopher Kasker氏は「士官学校の学生の行動には各人の責任と軍として最高のプロ意識が要求される。行進中にモバイル端末は持っていたかもしれないが、使ってはいないだろうし、使うべきではなかった。スマホ操作のような違反があったら、たいていはその場ですぐに正される」とコメントしていた。「cadets may carry, but not use, a mobile device」と行進中でもスマホを所持している可能性は否定していない。行進中でもスマホを持っていたら気になってしまうだろう。

アメリカでもスマホの普及で「歩きスマホ」と「運転中のスマホ」は事故の原因として社会問題になっている。「歩きスマホ」は町中でも学校内でもあらゆるところで見かける。常にスマホを見てないと手持無沙汰であり、スマホが気になって落ち着かない状況は日本と同じだ。それでも陸軍士官学校の卒業生の行進時には相応しいものではない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事