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カナダ警察「運転中スマホ」取締りに向けて1.2キロ先まで撮影できる望遠カメラ導入

佐藤仁学術研究員・著述家
(RCMP)

カナダのブリティッシュコロンビア州の警察が自動車の運転中のスマホ捜査による事故防止に向けて、「運転スマホ」をしている人を取り締まるために2016年5月に望遠カメラを導入した。このデジタル一眼レフカメラは24メガピクセルで1.2キロ先まで撮影することができる。

カナダのブリティッシュコロンビア州では2016年6月から「運転スマホ」の罰金が1回目は543カナダドル(約46,000円)、2回目以降は888カナダドル(約75,000円)になる。そして5月だけですでに200人以上が「運転スマホ」で罰金を取られている。

通学バスの運転手もスマホ

カナダでもアメリカと同じように「運転スマホ」が社会問題になっており、事故が多発している。今回、望遠カメラが導入されたブリティッシュコロンビア州では2014年に66人が「運転スマホ」による事故で死亡している。また2016年5月には首都オタワでは高校の通学バスの運転手が、バスの運転中にスマホを操作している姿を乗客の高校生が撮影してSNSにアップしてニュースでも大きく取り上げられ問題になっていたばかりだ。2014年にアメリカのテネシー州で高校の通学バスの運転手が「運転スマホ」による衝突事故で2人の高校生が死亡する事件があったので高校生も自分たちの命を預けるバスのドライバーが「運転スマホ」をするのは恐怖であり許容できない。アメリカやカナダでは通学バスの運転手がスマホ操作をしており、大事故にならずとも問題になり、ニュースになることが数年前からよく見かける。

自動車運転中のスマホ操作が、大惨事につながり危険なことは容易に想像できそうなものだが、いつまでたっても無くならない。カナダで1.2キロ先までチェックして撮影できるカメラが警察に導入されたからといって、すぐに「運転スマホ」が激減するとも思えないが、それでも何かしらの抑止力になればよいだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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