スマホアプリ「アウシュビッツのユダヤ人ゲーム」Google Playから削除
ナチスが戦時中にユダヤ人を大量虐殺した、いわゆるホロコーストでは600万人以上のユダヤ人やロマが殺害されたと言われている。そのうち5〜6人の1人にあたる110万人がアウシュビッツ絶滅収容所で殺害された。そのアウシュビッツを舞台にしたスマホ向けアプリのゲーム「live like a real Jew in Auschwitz」がGoogle Playに登録されていたが、開発者によって2016年6月20日に削除された。開発したのはスペインのサラゴサにある職業訓練校。
アウシュビッツのような絶滅収容所の役割は財産の押収と殺害だけだった。強制労働や人体実験への囚人の利用も絶滅過程だった。絶滅収容所のユダヤ人や囚人が生存し得たのは、殺害装置(ガス室や焼却所)が一時的過密のため収容所の建設、維持補修やドイツの軍事および工業目的の強制労働や人体実験のためだった。それは労働を通じた絶滅だった。そこを舞台にした生存をかけた生活をゲームにして楽しむのは死者や生存者への冒涜だろう。
開発者は「ただのパロディだった」とコメントしているが、犠牲者や家族から見たらパロディとされることは許されないだろう。イスラエルのホロコースト生存者組織のトップで世界ユダヤ人会議のメンバーでもあるColette Avital氏は「ユダヤ人600万人以上が犠牲になったホロコーストを遊びとするようなゲームをGoogleはどうして許可してアップしているのか理解できない」と怒りを露わにした。世界ユダヤ人会議はGoogleが最近YouTubeにアップされた反ユダヤ主義的な歌の動画をすぐに削除していないと批判していた。先日もイスラエル当局はFacebookやTwitterにアップされているパレスチナ人による反ユダヤ主義的な投稿のうち70%がようやく削除されたと報じられていた。
このようなホロコースト時の収容所を舞台にしたゲームが投稿されて問題になることはそれほど多くはないが、今でも発言の自由を超えたヘイトスピーチにあたるような投稿や書き込みはYouTubeやFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアには多い。ネット上にはユダヤ人をターゲットにした投稿だけでなく、世界中でそれぞれの民族や集団を標的にして様々な内容で投稿されている。