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メキシコ、タクシーでポケモンを探しに行こう!新興国で期待される「ポケモンGO」周辺の新たな商売

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

日本でも開始された「ポケモンGO」は世界中で大人気だ。

その「ポケモンGO」人気に便乗して、メキシコのタクシードライバーが「ポケモン・ハンター(Pokemon hunter)」というサービスを開始した。

これはメキシコのベラクルスという港湾都市に住むEmilio Cacho氏という29歳のタクシードライバーが始めたサービスで、プレーヤーをタクシーに乗せて、ポケモン探しを手伝うというものだ。最初の1時間は130ペソ(約700円)でそれ以降は1時間毎に100ペソ(約570円)課金だそうだ。

ベラクルスの経済状況は悪くタクシーの乗客も少ないようだが、2016年7月11日にこのサービスを開始して、20件以上の問い合わせがあった。「ポケモンGO」は屋外でポケモンを集めながら遊ぶことができるゲームだが、暑い日に外を歩き回るのは疲れるし、さらに治安のよくない国や地域では危険だ。それでもポケモンを集めて遊びたいというユーザーのニーズに応えたものだ。

治安の悪いリオでも市長がオリンピック前に「ポケモンGO」誘致へ

「ポケモン・ハンター」はタクシーの運転手だけでなく、自動車が運転できれば誰でも始められる商売だ。Emilio Cacho氏が話題になったのは、まだ「ポケモンGO」の配信を開始していないメキシコで、誰よりも先に始めたからだ。

ブラジルのリオデジャネイロのEduardo Paes市長が2016年7月13日に自身のFacebookページで、オリンピック開催の8月5日の時には、さらなる観光客誘致のために「ポケモンGO」をブラジルでも配信するように、任天堂に呼びかけていた。

市長はリオ市内の人気観光地をポケモンの捕獲場所としてアピール
市長はリオ市内の人気観光地をポケモンの捕獲場所としてアピール

但し、ブラジルのリオデジャネイロの治安は非常に悪く「歩きスマホ」をしていると、ひったくりや強盗、殺害の恐れもあるようだ。そのような治安の悪い場所で、実際にスマホを見て歩き回りながら「ポケモンGO」をやるのは危険だ。スマホを見ていなくても、歩いているだけでも危険な場所もある。

それでもせっかくブラジルに行ったのだから、そこでポケモンを集めたいというユーザーも多いだろう。そのような地域では、このようなタクシーでの「ポケモン探し」の手伝いは1つのビジネスになるかもしれない。

欧米や日本でも「ポケモンGO」の周辺で多くのサービスが登場したり、観光客誘致などに活用する動きもみられる。これからは新興国でもこのようなポケモン探しを手伝う商売が多く登場するかもしれない。治安が悪くない地域でも、暑いところで歩き回るのは嫌だという人も多いだろう。ポケモン探しの商売は新興国だけでなく先進国でもありえるだろう。

但し、ユーザーとしては、ぼったくられたり、犯罪に巻き込まれないように気を付けるべきだ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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