イラン政府「セキュリティ上の観点から多くの問題を引き起こす」:世界初の「ポケモンGO」禁止
世界的に「ポケモンGO」が流行している。夢中になりすぎて「歩きスマホ」や民家への不法侵入など事故やトラブルも世界規模で続出している。
世界初のイラン政府「ポケモンGO」禁止
世界規模で流行している「ポケモンGO」だが、イラン政府の当局(High Council of Virtual Spaces)は2016年8月にイランでの「ポケモンGO」の配信、プレイを禁止した。「セキュリティ上の観点から多くの問題を引き起こす」というのがその理由だ。この当局(High Council of Virtual Spaces)はオンラインでのゲームやコンテンツなどを統括している。
サウジアラビアでは宗教的な理由から「ポケモンGO」を禁止すると宗教団体が表明した。またアメリカでは国防総省の業務用スマホでの「ポケモンGO」を安全保障上の理由から禁止したり、同様にイスラエル軍でも軍事施設での「ポケモンGO」は禁止しているが、政府が公式に「ポケモンGO」を禁止したのはイランが初めてとなる。
イランでゲームを配信したい場合は、イランの文化イスラム指導省(Ministry of Culture and Islamic Guidance)の許可が必要となるが「ポケモンGO」はまだ許可されていなかった。それでも既に配信は開始され、多くのイラン人らが「ポケモンGO」を楽しんでいた。
本当に全面禁止できるのか?
イランでは「ポケモンGO」だけでなくFacebookやTwitterなどもアクセスできない。1週間に1回くらい、たまにアクセスできたりすることがある。だが特別なソフトウェアをPCやスマホにインストールしておけば、どこにでもアクセスできる。そのようなソフトは一般に広く出回っており、多くのイラン人がFacebookやTwitterを利用している。
「ポケモンGO」禁止は「セキュリティ上の観点から多くの問題を引き起こす」という曖昧な理由だが、GPSで位置情報を取られたり、軍事施設への侵入などの懸念があるだろう。イランでは空港や軍事施設、宗教関連の建物など多くの場所が撮影禁止だ。またアメリカ的なコンテンツというのも禁止の理由だろう。イランではアメリカの映画や音楽などのコンテンツは堕落した性やドラッグ、金にまみれているなどという理由で観ることができないが、実際には海賊版も大量に出回っていたり、特別ソフトをインストールしたスマホやPCからネットでチェックしているので多くのイラン人がアメリカの映画やコンテンツをよく知っている。
今回も表面上は「ポケモンGO」は全面禁止のようだが、実際にはどこまで禁止することができるのだろうか。ただ「ポケモンGO」は屋外でスマホで遊ぶので、人目につきやすい。特にイランでは多くの場所が撮影禁止で、勝手にスマホを向けていると身柄を拘束されかねないので注意が必要だ。