Uber、Volvoと提携:米国ピッツバーグで初の自動運転サービス提供へ:変わる社会と産業構造
配車サービスUberは2016年8月、スウェーデンの自動車メーカーVolvoと提携して自動運転車を開発していくことを明らかにした。また自動運転の開発を行っているスタートアップ企業Ottoを買収することも明らかにしている。同社は既に無人トラックの開発を行い走行試験も行ってっており、Uberは自動運転車の実用化に向けて体制を強化していく。なおUberはVolvo以外とも自動運転車の開発で協業していく予定。
ピッツバーグで初の自動運転によるサービス
Uberは2016年8月中にも米国ピッツバーグで、自動運転車による配車サービスの試験を行っていく予定だ。実際に利用者がUberを利用する際に、自動運転車がやってくるかもしれないそうだ。まだ試験段階なので、運転手も同乗しての試験となるので、安心して乗車できるそうだ。試験期間中に自動運転車に乗車することになった利用者は乗車料金が無料でUberを利用できる。
Volvoと提携したUberは自動運転車にVolvoの「XC90」を利用する。自動運転を可能とするために自動車には数十個のセンサー、カメラ、レーダーなどを装備した試験車数台で自動運転の試験を行う。Volvoは2021年までに運転手が同乗しないで完全に自動運転ができる自動運転車を開発する予定。
進化する自動運転、変わる産業構造
Uberは同社初となる自動運転の試験を米国で開始する。Uberはアメリカで人気ある配車サービスだ。現在は運転手が運転し、目的地まで運んでくれるが、近い将来にはもう運転手のいない無人の自動車(自動運転車)が迎えに来て、目的地まで運んでくれることだろう。現在、Uberだけでなく自動車メーカーやGoogleなども自動運転車の開発、試験を行ってる。近い将来、自動運転車が車の主流になるだろう。
国内外の自動車メーカーは既に自動運転車の開発に取り掛かっているが、自動運転車が主流になると、社会の産業構造も大きく変わってくる。タクシーやトラックの運転手という職種がなくなってくる。今までは運転手の人件費が高かったが自動運転が主流になることによって、物流や輸送コストも低減するだろうから、野菜など日常生活品の値段も下がることが予想される。
また人間と違って疲れることがないから、大量に24時間いつでも配送できる。夜だからタクシーが高いということもなくなるだろう。これらは結局、人件費が高かったのだ。このようなドライバーの仕事が激減することによって、今までのように深夜にトラックの運転手向けにサービスを提供していた食堂やショップなどでも姿を消すだろう。個人で自動車の免許を取る人も少なくなるだろうから、自動車学校も淘汰されていくだろう。Uberのような自動運転車による配車が低価格で普及したら、地方でも個人で自動車を所有する必要もなくなってくる。そうなるとメーカーや保険会社も、いつまでも個人の自動車購入者に依拠することはできない。
このような産業構造の変化はアメリカだけの話ではない。日本でも同じような社会がやってくる。時代の流れは止めることはできない。かつて20世紀初頭に自動車が登場した時には、今まで馬車の運転手(御者)や馬車を造っていた人、馬の世話をしていた人は自動車に仕事を奪われた。その代りに自動車が新たに石油産業や鉄鋼、道路建設、運転手といった仕事を多く生み出し、産業構造と社会は大きく変化した。今回の自動運転車の実用化も、それと同じくらいのインパクトがある。