AKB48も総選挙、れなっち総選挙でも活用:ライブ動画でコミュニケーション「SHOWROOM」

SHOWROOMでは得意のギターを披露していたチーム8の長久玲奈(C)AKS

誰もがスマホを所有するようになり、コミュニケーションや情報発信のアプリも多種多様になってきた。最近注目を集めているのが、「仮想ライブ空間」をキャッチコピーとしている「SHOWROOM」だ。

リアルタイムに動画を配信できるプラットフォームとして台頭

SHOWROOMはアイドルやタレントがスマホやPCから自分でリアルタイムにライブ動画を配信して、それをスマホやPCで見ているファンがリアルタイムにコメントを書き込んで、そのコメントを見ているアイドルらが反応して、ライブ動画でコメントを返したりしている。また他にも番組の中継などにも活用されている。利用者は無料でアプリをダウンロードして、無料で視聴できる。有料のギフトアイテムを購入などがビジネスモデルだ。例えば、ファンはギフトとして星を配信しているアイドルらに無料で投げることができるが、東京タワーなど特別なアイテムは有料で、それぞれに価格がついている。配信しているタレントやアイドルが視聴しているファンの上位のニックネームを呼んでくれることや、タレントらが有名になることをモチベーションに多くのファンがギフトを購入して、配信時に投げ込んでいる。2013年11月にサービスが開始され当初は特定のタレントなどが配信していたが、2014年9月からは一般ユーザーによる配信も可能になった。英語や中国語に表示変換すれば海外の人でも動画配信や視聴は可能だ。

「仮想ライブ空間」をキャッチコピーにしているように、スマホやPCの前にリアルタイムにアイドルやタレントがいて、コメントを書き込んで、そのコメントをアイドルが拾ってくれるので、まさに仮想(バーチャル)な会話をスマホやPCを通して楽しむことができる。

AKB48グループも総選挙などで情報発信に活用

それまではどちらかというとグラビアタレントや駆け出しのアイドル、音楽やアニメなどのニッチな層をターゲットにした動画配信プラットフォームのイメージが強かったSHOWROOMだが、いっきに有名になったのは2016年6月にAKB48グループが毎年恒例の選抜総選挙で、メンバーがアピールの場として活用してからだろう。

AKB48グループの多くのメンバーが総選挙の時にアピール動画を配信して、ファンへのアピールを行っていた。ただ動画でアピールするだけでなく、ファンからの書き込みのコメントに動画で返事をしてコミュニケーションをしたり、自分でいろいろと考えた企画などを配信していた。AKB48グループのメンバーはGoogle+、Twitter、755、ブログ、モバメなど様々なSNSなどで以前から情報発信を行っているが、どれもがテキストベースでの情報発信だった。それに総選挙の時に期間限定だがSHOWROOMで動画の配信を行っていた。もちろん、SHOWROOM配信期間中もメンバーらはTwitterや755などのSNSで、例えば「今日7時からSHOWROOMやります」などの宣伝をしており、それぞれのSNSを使いこなして情報発信をしている。またSHOWROOMもフォローすれば、そのメンバーが配信を開始するとスマホにアラートが来るので、ファンらは時間があったら仕事中でもこっそりスマホでチェックしている。「今、仕事中」や「いま、授業中」といったコメントもメンバーの多くの拾われて「がんばって、大丈夫なの?」いうコミュニケーションが行われていた。

れなっち総選挙でも活用

そして2016年8月26日までは「れなっち総選挙」で再びSHOWROOMを活用して動画配信を行っていた。これはメンバーの加藤玲奈さん独断で好きな選抜メンバー16人を選ぶという企画で昨年に続いて2回目だ。今回はAKB48グループの168人が「れなっち総選挙」に立候補して、SHOWROOMでアピールしていた。主旨としては加藤玲奈さんへのアピールで、たまに配信している時に加藤玲奈さんが見に来るとメンバーらは自身が描いた加藤さんの絵などを見せてアピールしていたが、そもそも加藤さんが独断で決める選挙をどう頑張ればいいのかもわからないので、ほとんどのメンバーはそれぞれファンとのコミュニケーションと情報発信を楽しんでいた。

「れなっち総選挙」の選抜メンバー発表も2016年8月28日夜9時からSHOWROOMで配信を行っており、選ばれたメンバーにはリアルタイムで電話をしていた。注目度も高く開始30分で6万人以上の視聴者がいて、最終的には11万人以上が視聴しており、メンバー発表のたびにたくさんのコメントが書き込まれていたし、ギフトの東京タワーも何本も贈られていた。

SHOWROOMでも人気があったチーム8メンバー (C)AKS
SHOWROOMでも人気があったチーム8メンバー (C)AKS

リアルタイムでの動画配信の醍醐味

ファンからのコメントを返しているメンバーや、早朝からすっぴんで配信したり、料理や化粧をしたり、ファンからの要望で歌を歌っているメンバーなど様々だ。特にチーム8メンバーの多くがやっていた浴衣での配信はファンの間でも大人気だった。まさにメンバー自身の企画力とアドリブでの対応力も試される動画配信だった。メンバーはふだんから握手会で瞬時にファンに対応する必要があることからコメントへのレスは素早く対応できるし、答えたくない質問は無視すればよいから現実にファンを目の前にする握手会よりも楽だ。また悪口やしつこいコメントは通報することもできる。

他にもロケや仕事でホテルが一緒で夜にメンバー同士集まって配信したり、同じ時間にリアルタイムで配信しているメンバーの動画をファンと一緒に見たり、電話をしているメンバーなどもいた。アンケート機能を活用してファンにアンケートを取っているメンバーも多かった。さらに多くのメンバーが自宅で配信していて、外の騒音などが入ってしまたり、撮影用のスマホが転倒するなどの事故などもリアルタイム配信の醍醐味だった。また配信中にメンバーに電話かけて「今、SHOWROOMで流れてるから変なこと言っちゃダメだよ」と相手に釘を指しているのも印象的だった。「スクショタイム」と呼ばれるファンがスマホでスクリーンショットを取るためにメンバーがファンの希望するコメントに応じたポーズを取るシーンも人気がある。

SHOWROOMはネットでの動画配信なので日本だけでなく海外からも視聴は可能で、コメントに「アメリカから見てます」といった書き込みがありメンバーらも喜んでいたし、台湾からAKB48に留学生で来ている馬嘉伶さんのSHOWROOMは台湾や香港などのファンで溢れており、中国語のコメントばかりで、本人も中国語で配信していた。AKB48は海外でも大人気で、今回のSHOWROOM配信も香港のファンの間でも話題になっていた。

れなっち総選挙1位の小栗と7位の長 (C)AKS
れなっち総選挙1位の小栗と7位の長 (C)AKS

配信画質も非常に良いものや悪いものまで様々だった。特にホテルの部屋などでホテルのWi-Fiなどを利用して配信している場合は、ホテルの他宿泊客などもWi-Fiを利用していると画質は低下してしまい、ストレスを感じる画質の配信も多かった。光回線やドコモなどの携帯電話回線で配信すれば回線も速度も安定しているので画質も良いのだろうが、メンバーが多くがスマホで配信しており、速度制限を気にしていた。チーム8の小田えりなさんが配信した動画の画質が悪く、もはやモザイクがかかったような動画の回があった。小田さんは「画質を諦めるか、諦めないか?」というアンケートを行いファンは圧倒的に「画質を諦めない」に投票していたが、本人あっさり画質は諦めてしまった。「画質はもう気にしないでください。諦めてください。いぇーい」と開き直ってファンに伝えていた。それでも1万人以上が小田さんの画質の悪い動画をリアルタイムに見ていたことから、ファンは画質が悪くてもしっかりチェックをするようだ。そのことからファンの間で画質が悪くなることを「おだえり画質」とも言われていた。メンバーの画質が悪くなっていくとコメント欄に「おだえり画質になってきたよ」という書き込みが増えて、それを見ているメンバーも「え?おだえり画質?」とファンに返していた。また動画なので配信側も視聴側もあっという間に電池が消耗されていくので、メンバーの中には充電が切れて途中で配信が切れてしまうものもいたし、多くのメンバーが充電しながら配信していた。このようなところも従来のテキストや写真のSNSと異なり、ネットを通じてリアルタイムに動画を配信して、メンバーとファンが双方でコミュニケーションしている醍醐味だ。

ネットでの動画配信よりもリアルなライブの方が楽しめる (C)AKS
ネットでの動画配信よりもリアルなライブの方が楽しめる (C)AKS

総選挙の時もそうだったが、今回もあれだけ多くのメンバーが同時にリアルタイムに配信をしていたから、ファンもとても全て見ることは難しかっただろう。配信は早朝5時から配信しているメンバーもいて、夜は時間制限があり若手のメンバーは20時までしか配信できなかったが、年上メンバーは24時まで配信することができたので長時間にわたって配信しているメンバーも多かった。リアルタイムでの配信が基本で、録画した動画を配信することはできなかったので、中には仕事が忙しくて時間がなくて配信できなかったメンバーもいた。特に昨年の「れなっち選抜」で7位だったチーム8の佐藤七海さんは9月から始まる舞台「絢爛とか爛漫とか」の稽古が忙しくてSHOWROOM配信ができないことを悔やんでいた。釣り師で有名な「わるみん」こと佐藤七海さんのSHOWROOMが見れずに残念だったファンも多い。そして「れなっち総選挙」後の「絢爛とか爛漫とか」のSHOWROOMで「みんな、れなっち総選挙について、触れていいんですよ!」と呼びかけて、ファンらもコメントしていた。

今年は舞台稽古が忙しく残念ながら選抜に入れなかった佐藤七海(左)と「Wななみ」の山田 (C)AKS
今年は舞台稽古が忙しく残念ながら選抜に入れなかった佐藤七海(左)と「Wななみ」の山田 (C)AKS

SHOWROOMの特徴はリアルタイムの動画配信であるが、学生で夏休み期間だった人はリアルタイムに見ることができたかもしれないが、平日の昼間や通勤時間帯に配信しているメンバーの動画はリアルタイムではとても見れないというファンも多かったはずだ。SHOWROOMはリアルタイム配信だが、その動画の多くはYouTubeなどにも既に大量にアップされている。ただ期間限定だが、メンバーによっては1日に数時間以上で毎日朝から晩までやっている人も多くいたので、とても全ての動画はリアルタイムでもネットにアップされているものでも見切れない。またSHOWROOMはリアルタイムの配信で、そこでメンバーとネットを通じてコミュニケーションを楽しむものだから、ネットにアップされた動画の視聴よりもリアルタイムに見る方が圧倒的に楽しめる。

メンバー物真似が評判の吉川七瀬と「おだえり画質」で話題になった小田えりな (C)AKS
メンバー物真似が評判の吉川七瀬と「おだえり画質」で話題になった小田えりな (C)AKS
「2万年ちゃん」でお馴染みの小栗は香港でも大人気でSHOWROOMには海外からのファンも視聴 (C)AKS
「2万年ちゃん」でお馴染みの小栗は香港でも大人気でSHOWROOMには海外からのファンも視聴 (C)AKS

個性あふれる動画配信でメンバーの新たな魅力を発見

SHOWROOMというネットでのリアルタイム動画配信というコミュニケーションツールを通じて、多くのAKB48グループのメンバーが情報発信を行っていた。そしてSHOWROOMを見てファンになったという人が多いし、メンバーも独自の企画で配信しており、SHOWROOMというプラットフォームを多いに活用していた。特にNGT48の中井りかさん、中村歩加さんやAKB48の野村奈央さんなどは選抜総選挙、れなっち総選挙のSHOWROOMを通じた動画配信が話題でファンの間に名前が知られるようになったメンバーだ。他にも多くのメンバーが、自身で個性的な企画をしたりノープランのまま配信して、既存のファン以外にもSHOWROOMを通じて新たなファンを獲得していた。

選抜総選挙の時にはSHOWROOMでの配信が多くなかったチーム8メンバーも今回の「れなっち総選挙」ではたくさん配信して、ファンとのコミュニケーションを楽しんでいた。SHOWROOMを見てチーム8のファンになった人も多いだろう。今回れなっち総選挙で7位にランクインしたチーム8の長久玲奈さんはSHOWROOMで得意のギターを披露していた。チーム8のファンの間ではライブや公演でギターを披露しているので有名だが、今回のSHOWROOMを通じて多くのファンが長久玲奈さんの新たな魅力を見出して「え!こんな凄い子がいるんだ」という発見をしていた。他にも「タンス配信」でお馴染みの太田奈緒さんは今回はタンスを背景にした配信がなく突っ込まれたり、吉川七瀬さんの「メンバー物真似」、大西桃香さんの食事をしながらの「モグモグ配信」、清水麻璃亜さんと舞木香純さんは2人で約5時間も「もぎまり配信」を続けたり、佐藤朱さんは「Aka's Kitchen」と称して深夜の夜食向けのオリジナルスムージーを作ってファンに突っ込まれたり、本田仁美さんは必勝鉢巻を巻いて地元栃木県の作新学院の甲子園での活躍を伝えるなど、他にもそれぞれのメンバーが独自の企画と個性で配信を盛り上げてファンとのコミュニケーションを楽しんでいた。他にもチーム8に加入したばかりの新メンバー3人もSHOWROOMを自分のアピールの場として活用していた。また広島の谷優里さんは台風で飛行機が引き返してしまい秋葉原での劇場公演に出られずに、広島に帰着してからSHOWROOM越しにファンに泣きながら謝罪し、公演に対する熱い思いを語る姿は多くのファンから称賛されており、本来の「れなっち総選挙」と関係なくファンとネットを通じてコミュニケーションができるのもSHOWROOMの大きな特徴だ。

普段からバラエティで鍛えられているメンバーはネットでのファンのコメントにも臨機応変に対応できる (C)AKS
普段からバラエティで鍛えられているメンバーはネットでのファンのコメントにも臨機応変に対応できる (C)AKS

そして「れなっち総選挙」の1位もチーム8の小栗有以さんだった。「2万年ちゃん」の愛称でもお馴染みの小栗有以さんだが、SHOWROOMでも赤い浴衣姿での配信が日本だけでなく香港など海外のファンの間でも大好評だった。「かわいくて、いい子で素直で、たくさんの方に知ってもらいたい」と加藤玲奈さんも述べていた。小栗さんも「チーム8を背負う気持ちで頑張りたい」と述べていた。

スクショタイムのポーズなどはライブや番組でも慣れているのでネットでもすぐに対応 (C)AKS
スクショタイムのポーズなどはライブや番組でも慣れているのでネットでもすぐに対応 (C)AKS

「れなっち総選挙」が終わりAKB48メンバーの定期的な配信は終わったが、SHOWROOMでは毎日タレントやアイドルらが様々な動画を配信してファンとのコミュニケーションを楽しんでいる。AKB48グループも活用しており、2016年6月末まではNOTTVで配信していた深夜のラジオ番組「AKB48のオールナイトニッポン」もSHOWROOMでの配信をしている。カメラを設置するだけで、ラジオの音声だけでなくスタジオの様子もネット動画で配信されるようになった。そのかわり、出演者はこれからはラジオだからといって手抜きが出来なくなる。他にもイベントで訪れているUSJでメンバーが園内を紹介する動画を配信したり、9月から始まる舞台「絢爛とか爛漫とか」の宣伝を出演者がSHOWROOMで、リアルタイムにスマホやPCの前のファンに行っている。

既存ファンだけでなく新たなファンを獲得できるか

新たなコミュニケーションのプラットフォームとして台頭してきたSHOWROOMではリアルタイムに動画配信しているので、Twitterや755のような写真とテキストベースのSNSと違って、動画を見れば瞬時でどんな子かがすぐにわかるし、書き込んだコメントにリアルタイムに反応してくれたら嬉しいから、従来のファンだけでなく、初めてたまたまSHOWROOMを見てファンになったという人も多いだろう。但し動画配信だから、既存のファンと違って、たまたま来てくれた初見のファンは瞬時に魅了できなかったら「あの子の動画は面白くない」ということで、次回から来てくれないし、同じ時間帯に多くのメンバーが配信していたら違うメンバーの動画へすぐに行ってしまうので配信するメンバーは本当は常に真剣勝負での配信が求められる。

だが、実際はノープランでやっているメンバーの方が気負いがなくても面白かったり、ファンの書き込みやアンケートで何をやるかを決める方がファンには好評だったりする。書き込んだコメントをたまたま拾って質問に応えてくれたり、動画での対応が予想以上に「神対応」なのでファンになったという人もいるし、全くコメントを拾ってくれないから、つまらないなと思ってしまう人もいる。メンバーには限られた時間で「新規ファン獲得と既存ファンの満足向上のバランスのとれた配信」が求められる。

SHOWROOMはリアルタイムの動画配信なので、ロケや移動中の隙間時間や外出先、プライベートタイム時の配信には制限もあるだろうから、メンバーらもいろいろと気を遣うので、文字や写真ベースのSNSのようにいつでもどこでも気楽にできるものではない。そして情報発信のツールは増えて便利にはなったが、「仮想ライブ空間」SHOWROOMでの動画配信があれば「リアルにメンバーに会える握手会やイベントには行かなくてもいいや」と思ってしまうファンもいるかもしれないので、リアルタイムのネット動画配信ばかりにコミュニケーションを依拠してしまうのもリスクだろう。

▼「れなっち総選挙」発表の模様もYouTubeにアップされている。YouTubeで見るよりもリアルタイムに見ている方がライブ感があって楽しめる。