ロシアのYouTuber、教会で「ポケモンGO」宗教的感情を害したと2か月拘留、有罪なら懲役5年
ロシアの21歳のRuslan Sokolovsky氏がエカテリンブルクの教会で「ポケモンGO」で遊んでいた映像をYouTubeにアップして起訴されて2か月間拘留されることになった。有罪判決が出たら懲役5年が求刑されるとのことだ。
宗教的感情を害したとして拘留
拘留されたRuslan Sokolovsky氏は、いわゆるYouTuber(ユーチューバー)のようで、多くの動画をYouTubeにアップしており、今回の教会での「ポケモンGO」の動画も2016年8月11日にアップされてから、すでに110万回以上再生されている。
しかし、あまりにも有名なYouTuberであることが災いとなったのか、この動画がきっかけで起訴されたようだ。調査委員会は教会内でのスマホゲームが「憎悪を煽り、宗教感情を害した。人間としての尊厳を踏みにじった」という理由で2か月間勾留することを発表している。
今回の騒動のきっかけとなったエカテリンブルクの教会は、ロシア帝国の最後の皇帝ニコライ2世が処刑された場所に建てられたことでも有名な「全ロシアに輝ける諸聖人の名による、血の上の大聖堂」だそうで、 ロシア正教会の広報担当者は「動画を見るとゲームを楽しむのでなく挑発しようとする意図が見える」とコメントしている。ただSokolovsky氏は以前からロシア正教会に批判的な動画を多くアップしていたようだ。
教会内での「ポケモンGO」のプレーについてはSokolovsky氏自身も「自分は罰せられるかもしれない。でもスマホを持って教会内を歩いている人もいるじゃないか。法律で禁止されていない。だから僕は行って、捕まえてくる」と宣言してから教会内に入り込んで、ポケモン探しを行っていた。スマホを持ってただ教会の中を歩くのと、そこでゲームをしてその動画をアップして世界中に公開するのは違うだろうが、YouTubeにアップされた動画の中では、実際に教会内でキャラクターを捕まえている様子が配信されている。ロシアでは正教会は聖なる場所であり、2012年にはモスクワにある正教会で反プーチンの歌を歌って女性バンド3人に懲役2年の有罪判決が下されたこともある。
▼今回Sokolovsky氏が拘留される原因となった動画
ロシアでも人気の「ポケモンGO」だが
ロシアでは「ポケモンGO」については色々と話題になっていた。ゲームの特徴からスマホでGPSをONにしてカメラで撮影して、屋外でキャラクターを捕まえることから、ロシア上院国防安全保障委員会のクリンツェビッチ第1副委員長は「群衆を集めたり特定の情報を拡散したりして、政変を起こす道具として使われる可能性がある」と2016年7月に主張していた。また議会で公聴会を開いて危険性を評価するよう提案されたり、ロシア共産党のボロネンコフ下院議員は「ポケモンGOがアメリカの情報機関によって作られた可能性がある」と指摘し、ロシア連邦保安局(FSB)へロシア国内での禁止を検討するよう申し入れていたと報じられていた。
さらには「ポケモンGO」が世界的なブームになっていた2016年8月に、モスクワ市当局は「Discover Moscow Photo」という拡張現実アプリを提供開始、これは「ポケモンGO」のロシア版とも報じられた。このスマホゲームはポケモンのキャラクターではなくて、町中でイワン雷帝、ピョートル大帝、宇宙飛行士ガガーリン、詩人プーシキン、作曲家チャイコフスキーなどロシアの歴史上人物が多く登場するゲームのようだ。このゲームがロシアで流行しているという話は全く聞かない。