インド「ポケモンGO」:宗教施設で「モンスターの卵」登場に菜食主義者が信仰への冒涜と提訴
世界中で多くの人が楽しんでいる「ポケモンGO」はインドでも多くのインド人が楽しんでいる。だが実はインドではまだ正式な配信は開始されていない。そのインドで裁判所が「ポケモンGO」に登場するキャラクターが宗教施設から登場したり、ヒンドゥー教の信仰を侵害しているとして「ポケモンGO」の禁止を政府らに見解を求める通告を出した。
菜食者主義者が「モンスターの卵」に怒り
そもそもインドでは正式な「ポケモンGO」配信が開始されていないがインド国外でダウンロードもできるし、インド以外でも配信前から多くの国で遊ばれていた。
インド西部グジャラート州の男性が2016年9月7日に、ヒンドゥー教やジャイナ教など宗教上の理由で菜食主義者にとっては「ポケモンGO」でモンスターの卵を集めたり、神聖な宗教施設にその卵やキャラクターが登場することが、宗教と信仰への冒涜であり宗教感情を侵害していると主張し、インド国内で「ポケモンGO」禁止を求める申し立てを裁判所に行い、受理された。そしてインド政府とグジャラート州、アプリを制作した会社などに、見解を求める通告を出したことを明らかになった。訴えた男性の代理人を務める弁護士のNachiket Dave氏は「たとえスマホの中でバーチャルな空間であっても、神聖な宗教の寺院で卵やキャラクターが登場するのは神への冒涜であり、好ましくない」と語っている。
菜食主義者は肉や魚だけでなく、卵も食べない人が多いようで、人口13億人を超えるインドには菜食主義者が4億人以上いるとのことだ。特に訴えがあったグジャラート州には菜食主義者が多いようだ。
世論の様子を見ながらの対応か
宗教施設や戦争の記念碑、アウシュビッツなどホロコースト時代の収容所跡地など神聖な場所にポケモンのキャラクターが登場することによって人々が怒って、スポットから外れることはあるが、裁判所に提訴してゲームの禁止を要求し、政府に見解を求めるのはインドが初めてだろう。しかもまだインドでは正式に「ポケモンGO」は配信されていない。訴えた男性の気持ちも理解できるが、政府も世論の様子などを見ながら対応を検討せざるを得ないのだろう。
なおインドの元国務大臣Shashi Tharoor氏は同氏のTwitterで「こんなことが議論されているのはインドだけ。くだらないことで裁判所を邪魔するのは愚かなことだ」と今回の問題について一蹴している。