サムスン、ミャンマーでも「Galaxy Note7」出荷停止
サムスンの新型スマホ「Galaxy Note 7」でバッテリが過熱する問題で、リコールが相次いでいる。2016年9月15日にはアメリカの消費者製品安全委員会(CPSC)も、アメリカで販売された約100万台の「Galaxy Note 7」を全てリコールすることを発表した。アメリカではバッテリが過熱した報告が92件、そのうち26件が火傷で、55件がガレージや車の中での発火など物的損害が報告されているらしい。
全世界で約250万台の「Galaxy Note 7」が出荷されており、事故やトラブルが懸念されている。日本でも日本航空(JAL)が充電中に内蔵のリチウムイオン電池が爆発するなどの事故の恐れがあることから、機内では充電も含め使用禁止、手荷物としての貨物室への預かりも禁止している。
サムスンは廉価のローエンドから高級なハイエンド端末まで、まさに「ピンからキリまで」の製品ラインナップを揃えていることから、全世界で年間3億台以上のスマホを出荷しており、メーカーとしては世界一の出荷台数を誇っている。最近では中国市場では存在感が無くなってしまったが、それでもインドや東南アジア、欧米での存在感はまだある。
ミャンマーではサムスン「Galaxy Note 7」は高嶺の花
ミャンマーでもサムスンの存在感はある。今回の「Galaxy Note 7」の爆発事故とリコールは大きな話題になっている。「Galaxy Note 7」は当初、2016年9月11日にミャンマーで販売開始する予定で事前に予約の受付も行っていた。そのためヤンゴンの町中や地方でも道路のビルボードなどで「Galaxy Note 7」の宣伝や広告を多く見かけた。しかし、今回の世界規模でのリコールを踏まえて、出荷が10月以降に延期することが発表された。それでも町中には、まだ「Galaxy Note 7」の宣伝の看板やビルボードはそのままだ。
但し、ミャンマー人でサムスンを利用している人はそれ程多くはない。ミャンマーは5年前まで携帯電話すら持っている人がほとんどいなかったが、民政移管後に急速に普及しているので、世界中の新興スマホメーカーが挙って参入している競争が激しい市場だ。サムスンの広告や宣伝は町中で見かけるが、それ以上に中国Huawei、OPPO、vivoやミャンマーのKENBO、タイのTrue、シンガポールのSingtechなどの他にも多くのスマホメーカーが存在し、特に中古端末は町の屋台で購入できることから中古や新品の安いスマホが大量に流通しており、サムスンだけが目立って売れているわけではない。
また今回の「Galaxy Note 7」は事前予約の920,000チャット (約8万円)と、ミャンマーではとんでもなく高価なスマホで、誰もが簡単に購入できるものではない。事前予約でも数百台の予約しかきていなかった。だからほとんどのミャンマー人にとっては「Galaxy Note 7」の爆発やリコール問題は他人事だ。大量に中古や廉価な新品スマホが流通しているので、サムスンのスマホがなくてもミャンマー人は誰も困らない。
それでも今回の「Galaxy Note 7」のニュースはミャンマーでも多く報じられており、Facebookなどでも話題になっているのでミャンマーでも誰もが知っている。「そんなに超高級なスマホでも爆発するってことは、自分が持っている安いスマホは大丈夫か?」と心配している人もいる。競争激しいミャンマーのスマホ市場でサムスンは多額のマーケティングコストをかけてブランド構築を行っていたが、今回のトラブルでサムスンのブランドはミャンマーでも大きく失墜してしまった。