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インドネシア:同性愛者がキス写真をFacebookに投稿、反ポルノ法違反で逮捕

佐藤仁学術研究員・著述家

インドネシアのスラウェシ島マナドで、Facebookに男性カップルがキスシーンの写真を投稿したことで逮捕された。

同性愛は今でもタブー

インドネシアでは同性愛は違法ではないが、ムスリムが多いインドネシアではジャカルタのような大都会でも同性愛に対しては今でも反感が強い。今回の同性愛者同士のキス写真にも国民からの怒りの声が相次いでいたそうで、情報通信省の要請で写真はFacebookから削除されたようだ。

インドネシアは同性愛を想起させるようなスタンプや絵文字に対してFacebookやLINEに対して要請をしたこともあるくらい、同性愛に対する嫌悪感が強い。同性愛は違法ではないがインドネシアでは生き辛い。同性愛者の出会いアプリGrindrは禁止されているし、政府は「なよなよした女性っぽい男子はテレビに出るべきでない」と言っている。

反ポルノ法で逮捕

逮捕されたのは20代の大学生と会社員。地元の警察の広報担当Marzuki氏は「2人は写真が自分たちであることを認めており、2人の愛を証明するためにFacebookに投稿した」と語っている。2人は同性愛だから逮捕されたのではない。ネット上にベッドでのキスシーンというポルノ写真を投稿したとのことで、反ポルノ法違反で逮捕したと警察は発表している。インドネシアでは「性的欲望を刺激するものや、道徳に反する」と思われるポルノ写真をネットに投稿することは禁じられている。同性愛同士のキスシーンはインドネシアでは道徳に反すると捉えられてしまう。違反者は最長15年の禁固刑や罰金が科されるそうだ。

Facebook自体は中立的なプラットフォームだが、インドネシアにはFacebook利用者が7,500万人以上いて、多くのインドネシア人が毎日利用しているか。そのためこのような写真の拡散も速く、国民から怒りの声がたくさん上がり、政府や警察も無視できなかったのだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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