Uberの自動運転トラックOtto、米国で5万本のバドワイザー運搬に成功:ドライバー不要の時代へ
配車アプリでお馴染みのUberが2016年8月に買収したOttoの自動運転トラックが、米国コロラド州で5万本のバドワイザーの缶ビール5万本を運搬することに成功した。
世界初の自動運転トラックによる商業運搬
今回、コロラド州当局の協力を得て、Ottoの18輪の大型トレーラーがコロラド州のハイウェイでフォートコリンズからコロラドスプリングスまで約190km(東京から静岡くらいまで)を自動運転で走行した。その間、ドライバーは後ろの仮眠スペースにいたそうだ。このような大型の自動運転トラックによる商用での運搬はOttoが世界初とのこと(OttoはUberとは別の独自ブランドとして運営されると発表している)。
UberのLior Ron氏は「自動運転の技術力を証明したかった。今回の走行でOttoの技術力を証明できた。だがまだ開発途中で、現在でもハードとソフトの向上に取り組んでいる」とコメントしている。具体的な商用開始時期などは明らかにしていない。
自動運転の配送で年間5,000万ドル(約52億円)のコスト削減
バドワイザーのメーカーAB InBevによると、自動運転トラックで運送すれば、人が運転するよりも、アメリカで年間で5,000万ドル(約52億円)の経費削減ができるとのこと。燃費も削減できるし、もっと多くの配送をこなせるようになるともコメントしている。
変わる社会構造、ドライバー不要の時代へ
バドワイザーのメーカーが指摘するように年間で52億円も削減されるようになれば、その浮いた分のコストで、バドワイザーも安くなるだろう。ビール以外の商品も従来よりも運送費が安くなった分、安く購入できるようになることが期待されている。
今までの輸送費のコストはほとんどが燃料費と人件費だ。特に人件費は高い。そして人間だから長距離輸送は疲れるので、休む必要があり、その時間分もコストだ。もちろん自動運転車にはトラックの整備や商品管理、事故時の対応など別の課題も出てくるが、自動運転車は疲れ知らずだし、ストライキもしないし文句も言わないで目的地まで商品を配送してくれる。交代ドライバーの手配やシフト調整、体調管理や労使問題などに頭を悩ませる必要もなくなる。
自動運転トラックが主流となり、多くの商品を全国津々浦々まで配送してくれるようになると長距離ドライバーは不要になってくる。また従来のように長距離ドライバーのための深夜の食堂やコンビニなど長距離ドライバーを対象とした周辺ビジネスも不要になってくるだろう。
輸送コストが削減されることによって、商品の価格も下がるだけでなく、社会の経済構造も変わってくる。それは決して遠い将来の話ではない。既にアメリカのハイウェイで自動運転トラックが5万本のビール配送に成功している。