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韓国ソウル:3人に1人が「歩きスマホ」:注意標識の効果も少なく

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

日本だけでなく世界中で多くの人が「歩きスマホ」をしているが、韓国のソウルでは市民に3人に1人が「歩きスマホ」をしているとのことだ。KBS World Radioが報じているので以下に引用しておく。

「歩きスマホ」 ソウル市民の3人に1人

ソウル市民の3人に1人が、歩きながらスマートフォンを操作していることがわかりました。国民安全処によりますと、ことし9月の1か月間、ソウル市の中心部の光化門(クァンファムン)広場付近を通る歩行者1,396人を観察調査したところ、歩道を歩きながらスマートフォンを操作していた人は全体の33%を占めていたということです。さらに、横断歩道を渡る際にもスマートフォンを操作していた人は、全体の26%を占めていたということです。

去年1年間、スマートフォンなどに関わる交通事故の件数は1,360件に上り、5年前の2011年に比べて2倍以上に増加しています。国民安全処は、交通事故の統計にスマートフォン関連の項目を新たに設けるとともに、安全確保のための警告表示を増やしたり、交通安全のキャンペーンを行ったりするなどして注意を呼び掛ける方針です。

出典:KBS World Radio(2016年11月21日)

「歩きスマホ」注意の標識300本も設置しているが

韓国はサムスンのお膝元で、サムスンのスマホの人気が今でも高い。発火事故があっても、iPhoneなども人気が出て来たがまだ高いし、他にも選択肢がLGくらいしかないのでサムスンのスマホを利用している人が多い。6年前まではスマホの普及率は4%以下だったが、現在では約90%の人がスマホを所有しており、世界的にもスマホの普及率が高い国だ。

(Ed Jones)
(Ed Jones)

韓国人にとってはスマホ無しの生活は考えられない。ポケモンGOはもう流行っていないようだが、カカオトークのようなメッセージアプリ、スマホで撮影した写真をInstagramにアップしたり、ゲームや音楽、動画をスマホで楽しんでいる。街には充電できるところも多い。カカオトークの返信が気になるのか「歩きスマホ」もソウルの至る所で見かける風景だ。

韓国でも日本と同じように「歩きスマホ」が社会問題になっている。韓国交通安全公団によると2014年には1年間で「歩きスマホ」による交通事故が1,100件以上を超え、2009年の437件よりも2倍以上増加しているそうだ。

そのためソウル市では2016年6月から「歩きスマホ」の注意喚起をした標識をソウル市内5カ所に300本設置している。年内6か月間のトライアルで設置している。標識には「歩行中のスマホに注意」と書かれているが、どれだけたくさんの標識を街中に設置していても「歩きスマホ」をしていたら、神経はスマホに集中しているから標識は目に入らないのだろう。「歩きスマホ」も全く減少していないようだ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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