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Amazon「Prime Air」英国で初のドローン配送、注文から13分で広大な敷地の家に到着

佐藤仁学術研究員・著述家
(Amazon提供)

世界最大のネットショッピングサイトAmazonは2013年からドローン「Prime Air」による空中からの配送の取組を行ってきた。そしてついに2016年12月7日、Amazonはイギリスのケンブリッジで初のドローンによる配送の実験に成功した。Amazonはアメリカ、オーストラリア、イスラエルなどでもドローンによる配送の取組や実験を続けているが、規制や法整備の問題によって商用化には至ってない。下記にイギリスでのAmazon初のドローンによる配送の様子が動画で紹介されている。

ドローン配送は大きな庭のある家だけか

今回は注文からドローンの専用配送センターからの配送までに要した時間は13分と明らかにした。「Fire TV」と犬のビスケット1袋を配送した。今後近隣で数十件までドローンによる配送エリアを拡大していく予定らしい。配達できる荷物は最大5ポンド(約2.5キロ)で、15マイル以内の範囲で30分以内に荷物を届ける。

広大な庭にドローンは到着
広大な庭にドローンは到着

広大な敷地にあるAmazonのドローンの専用配送センターで、専用レーンからドローンが出発して、広大な庭のある家の庭にドローンが着陸して、荷物を着脱している。Amazon以外にもドローンによる配送は、ニュージーランドではドミノピザが実施、韓国でもドローンによる出前の試験が開始された。ニュージーランドでもドローンが来るのは大きな庭で、韓国では公園のグラウンドにドローンが配達している。

たしかにドローンは都市部では飛行禁止区域や時間の制限など規制が多い。ドローンが着陸できるような場所もほとんどない。欧米でも地方には大型スーパーなどもあり週末に車で行き、あらゆる商品を大量にまとめて購入している人が多い。「何か買い忘れたとき」や「今すぐ必要なもの」ならドローンでの配送もありがたいが、少量のドローン配送は欧米の地方ではあまりうけないだろう。

やはりドローンによる短時間での配送のニーズは都市部やオフィス街の方が高いだろう。だがビルが密集していたり、アパートやマンションなど集合住宅では、ドローンをどこに着陸させるのか、荷物の受け取りや管理、盗難対策をどうするのかなどの課題も多い。まだ都市部では従来のような配送会社による配送が続くのだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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