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Google、インドで「中小企業向けサイト開設ツール」を無料で提供へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Googleのスンダー・ピチャイCEOは、インドの中小企業が簡単にWebサイトを無料で作成できるツール「My Business Websites」を2017年後半に提供していくことを、ニューデリーで2017年1月4日に明らかにした。ツールの提供だけでなくトレーニングなども展開していく予定で、このプランを「Digital Unlocked」と名付けている。

ニューデリーで講演するGoogleのピチャイCEO
ニューデリーで講演するGoogleのピチャイCEO

インドの中小企業5,100万社のうちWebサイトを持っているのは3割程度

インドには中小企業が5,100万社もあるようで、そのうち68%がまだWebサイトを持っていない。もっとも5,100万の中小企業といっても、個人でやっている町のパン屋、路上の料理店、アクセサリーや服飾店なども含まれているので、たしかにほとんどが自分の店舗のサイトなどを持っていないことは明らかだ。それでもそのような店舗を運営している個人は、ほぼ全員がスマホを所有してFacebookやTwitterなどを利用している。さらにスマホが急速に拡大しているインドではGoogleはインド全土の駅で無料Wi-Fiも提供している。Googleでは今後30ドル程度のスマホの普及も積極的に行っていくことを明らかにしており、ますますインドでスマホの普及は拡大していく。つまりWebサイトがあれば、スマホ経由で多くのインド人に情報発信をすることが可能な環境になってきている。

さらにGoogleは、インドの商業団体FICCI(Federation of India for Commerce Federation of Indian Chambers of Commerce & Industry )と提携して、3年間かけてインドの40都市で5,000回以上のワークショップを無料で開催して、中小企業を対象にしてWebサイト作成や、情報発信に向けたノウハウのトレーニングを実施していく予定。また90種類の説明動画も無料で提供していく。

あらゆる店舗がWebサイトを持つことはGoogleの広告収入にも直結

Googleとしてもインドの5,100万の中小企業がWebサイトを作成して、情報発信をしてくれれば、それを宣伝するためにGoogleの広告を活用してくれる可能性が高い。広告収入が売上の90%以上を占めるGoogleにとって、まずは店舗が自社のWebサイトを持って情報発信をしていることが重要だ。そもそも店舗のサイトがなければGoogleでの広告配信にもつながらない。そのためには中小企業向けのサイト作成ツールを無料で提供して、全国で無料トレーニングも行うことはGoogleにとっては将来の広告収入に向けての重要な投資だ。

Googleはインド以外でも中小企業向け無料Webサイト作成ツールを提供していくことも考えているようだが、まずはインドでの提供からだ。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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