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YouTubeにメッセージ機能を追加、動画の共有が簡単に:まずはカナダで試験

佐藤仁学術研究員・著述家
(YouTube提供)

世界最大の動画共有サイトYouTube。今度はYouTubeのアプリからメッセージの送受信ができる機能を追加しようとしている。カナダで試験を行っている。

まずはカナダでYouTubeの動画共有やテキスト送受信試験

今まではYouTubeの動画をFacebookメッセンジャーやLINEなどのメッセージアプリで共有していたのが、YouTubeで簡単に友人らと動画共有することができる。動画共有以外にもメッセージの送受信もできる。非常にシンプルなメッセージサービスだ。

下記にはそのイメージ動画がアップされている。

YouTubeを傘下に持つGoogleのプロダクトマネージャーのShimrit Ben Yair氏は、カナダで試験を行っていることに対して「カナダは世界でも動画がたくさん共有されている国だから」とコメント。具体的な商用開始時期は明らかにしていない。

SNSやメッセージで地歩を固めたいGoogle

GoogleはSNSやメッセージアプリに弱い。Facebookに対抗して開始した「Google+」は世界規模で見てもほとんど利用されていない。日本でもかつてはAKB48グループのメンバーらが利用していたが、最近では多くのメンバーがTwitterや755にSNSの軸足を移している。メッセージアプリも世界規模ではFacebookのメッセンジャーやWhatsAppが主流だ。日本では圧倒的にLINEだ。

Googleとしては自社の最大の強みの1つであるYouTubeを活用して、なんとかしてSNSやメッセージアプリでの地歩を固めたい。Googleの売上の90%は広告収入だ。Googleは世界中の情報を収集して人工知能を強化することによって、広告収入の増収、さらには新たなサービス開発につなげていきたい。SNSやメッセージアプリは個人の日常生活のあらゆる情報の宝庫だ。誰と誰が繋がっていて、どのような会話が、いつされていて、どのような動画に関心があるのかといった情報を元に適切な広告配信が可能だ。

今回のYouTubeでのメッセージ機能はまだカナダのみでの試験段階だ。YouTubeは世界最大の動画共有サイトだが、YouTubeをトリガーにしてGoogleはSNSやメッセージ機能を強化していくことができるだろうか。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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