Netflix、海外市場で500万人加入者増:求められる世界規模で展開できるローカルコンテンツ
Netflixは2017年1月18日に2016年第4四半期(2016年10~12月)の業績を発表した。売上高は全世界で前年同期比売上高は36%増の24億7,000万ドルで、純利益は6,700万ドルだった。
海外市場で加入者500万人増
Netflixのアメリカでの総加入者は4,943万人で前期よりも200万増だった。アメリカ市場での加入者は頭打ちかと思っていたが想定以上に加入者が増加している。それでもアメリカ市場では有料会員が4,791万人だから、200万人増のほとんどが無料会員なのでマネタイズに繋げていくには今後この無料会員をどうやって有料会員にしていくかが鍵になる。
一方で、アメリカ国外市場での加入者数は4,437万人で前期よりも512万増と増加の伸びは大きい。海外市場での有料会員は4,119万人で、海外市場の加入者の93%程度が有料会員。
ブラジルのオリジナルコンテンツ「3%」がアメリカでも大人気
Netflixのような有料課金動画(SVOD:Subscription Video on demand)を提供するような企業にとってはコンテンツが収益の命脈だ。今回の決算発表によると、今期は「3%」というブラジルのオリジナルコンテンツのSFドラマが人気だったようで、周辺のラテンアメリカ諸国だけでなく、アメリカでも英語の字幕付で「3%」が多く視聴されたとのことだ(オリジナルはポルトガル語)。Netflixによると「3%」はポルトガル語の番組としては初めてブラジルとポルトガル以外で視聴者を獲得できたとのこと。
Netflixの「3%」この宣伝動画だけで136万回再生されている。
ローカルコンテンツの世界展開へ
Netflixはアメリカ市場では利益を出しているが、130か国で展開している海外市場ではまだ赤字だ。1年前に比べると赤字幅は減少したものの、いまだに6,000万ドル台の赤字幅だ。そしてこれからも海外市場でのコンテンツ製作に注力していくと述べている。
SVODでは、いつまでも同じコンテンツを提供し続けていても飽きられるだけだから、地域の特性に合わせて絶えず新たなコンテンツを提供しなくてはならない。自転車操業で、制作コストやマーケティングコストもかかる。「3%」は南北アメリカでヒットしたようだが、同じ動画が全世界にあらゆる国でヒットするとは限らない。
これからも世界規模でヒットするコンテンツが求められるようになる。Netflixは「今後は日本のアニメやトルコのドラマなど国境を超えてヒットできるローカルコンテンツの制作にフォーカスしていく」と述べている。たしかに日本のアニメコンテンツは特にアジアや欧州で大人気だ。またトルコのドラマもトルコ人が移民として多く住んでいる欧州や周辺諸国で人気がある。ローカルコンテンツを制作して、それらが世界規模で展開できることがNetflixの強みになるかもしれない。
だがNetflixだけでなくAmazon PrimeやHuluなどSVOD事業者は世界中に多数存在している。その時に面白いコンテンツを提供していても、その番組に飽きてしまったら、簡単に解約してしまう。特に動画コンテンツは「どうして、こんな動画が面白いの?」と思う人がいる一方で、その動画を「お金をいくら払ってでも見たい」と思う人もいるように、完全に主観的な価値基準で「おもしろい」「つまらない」がはっきりしている。
そのため「現在はHuluで面白い動画を提供しているから契約しているが、それまではNetflixを見てて、今度はAmazon Primeのコンテンツが面白そうだから加入しよう」というように世界中のユーザーの目移りは非常に激しい。さらに地上波テレビ、CATVだけでなく無料で視聴できるYouTubeなど動画市場は厳しい。
また英国女王エリザベス2世の若い時代を描いたドラマ「The Crown(ザ・クラウン)」の人気も高かったそうだ。下記の紹介動画も400万回以上再生されている。