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東地区同様に熾烈を極める西地区のACL。

柴村直弥プロサッカー選手
ACミランなどで活躍したMFムンタリはアル・イテハドでACLに出場している。(写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ)

先週、2月23日に開始した、AFCアジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)のグループステージ。32チームが4チームずつ8つのグループに分かれて戦い、各グループ上位2チームが決勝トーナメントへ進む。

2014年大会から、準決勝までは西地区と東地区に分かれて行われており、現在では西地区と東地区のクラブは決勝戦まで対戦しないことになっている。

日本からは、サンフレッチェ広島、ガンバ大阪、浦和レッドダイヤモンズ、そして先日プレーオフを勝利したFC東京の4クラブが出場しており、いずれも東地区のグループに配置されている。第1節から激しい戦いが繰り広げられているが、西地区の戦いも東地区同様に毎年熾烈を極めている。

ウズベキスタン、サウジアラビアのクラブがそれぞれ4クラブずつ出場

2016年の西地区のACL出場国の出場クラブ数は、ウズベキスタン、サウジアラビアが4クラブずつ、イラン、UAEが共に3クラブ、そしてカタールが2クラブの計16クラブとなっている。

日本の方々には東地区のグループに比べて比較的馴染みが薄いかもしれないが、どのクラブも豊富な資金力と充実した戦力で、力のあるクラブばかりである。

先週行われた第1節の結果をグループ毎に見ていきたい。

グループA

ロコモティフ(ウズベキスタン) 1−1 アル・イテハド(サウジアラビア)

セパハン(イラン) 2ー0 アル・ナスル(UAE)

ACミラン(イタリア)で長らく活躍した、ガーナ代表MFムンタリ擁する、アル・イテハドは、2012年にウズベキスタン2部リーグから1部リーグに復帰し、いきなり3位となり初めてのACL出場権を獲得して以降、ACLに出場し続けている、ロコモティフと対戦。ベネズエラ代表FWハビエルのゴールで先制するも、終了間際にロコモティフのMFミルザエフがゴール前の混戦から豪快にゴールネットを揺らし、1−1の引き分けで試合を終えた。

パフタコールの13回、アル・ヒラルの12回に次ぐ、11回目の出場となるセパハンは、キエーボ(イタリア)などセリエAで活躍した元チリ代表ヒメレスなどを擁するアル・ナスルをホームに迎えた。前半14分にMFルシアーノの豪快なミドルシュートで先制すると、その後も試合の主導権を握り、終始圧倒。後半に追加点を奪い、2−0で試合を終え、ACL常連クラブの貫禄のある戦いを魅せた。

グループB

レフウィヤ(カタール) 0ー1 ゾブ・アハン(イラン)

アル・ナスル(サウジアラビア) 3−3 ブニョドコル(ウズベキスタン)

スウォンジーシティ(イングランド)などで活躍したDFフローレスなどを擁するレフウィヤは、ホームでゾブ・アハンに0−1で敗戦。レフウィヤは終盤に猛攻を見せるも、ゾブ・アハンのゴールを割ることは出来ず、ホームで痛い敗戦を喫した。

ポーランド代表MFミェジェイェフスキを擁し、昨シーズン、サウジ・プロフェッショナルリーグ優勝のアル・ナスルは、昨シーズン、ウズベキスタン1部リーグ4位で、本大会プレーオフから勝ち上がった、ブニョドコルと対戦。前大会に続き、今大会も西地区で出場する唯一の日本人選手であるMF佐藤穣を中心に攻撃を展開するブニョドコルが前半で2点を先制。前半終了間際にアル・ナスルがPKで1点を返すも、ブニョドコルは後半に追加点を奪い、再びリードを2点に広げる。しかし、ホームで意地を見せたいアル・ナスルは、終盤の猛攻で2点を返し、終始リードされた展開から最後に追いつき、勝ち点1を得た。

グループC

パフタコール(ウズベキスタン) 2−2  アル・ヒラル(サウジアラビア)

トラークトゥール・サーズィー(イラン) 4−0 アル・ジャジーラ(UAE)

ACL最多13回目の出場となる、ウズベキスタン代表選手たちを多く擁するパフタコールと、ACLの前身であるアジアチャンピオンズカップ時代に2度の優勝経験のあるアル・ヒラルとの対戦。後半、パフタコール守備陣の一瞬の隙をついてアル・ヒラルが先制するも、パフタコールもウズベキスタン代表FWセルゲエフのゴールですぐさま同点に追いつく。試合終盤、再度アル・ヒラルがリードを奪うも、試合終了間際にウズベキスタン代表の右サイドバックのDFハシモフのミドルシュートで再びパフタコールが同点に追いつき、激戦は2−2の引き分けで終了した。

昨シーズン、イランプロリーグ2位のトラークトゥールは、ヘタフェなどでリーガエスパニョーラ(スペイン)272試合出場34ゴールを記録しているMFラフィタなどを擁するアル・ジャジーラに対して、開始10分までに2点を先制し、その後も効果的に追加点を重ね、4−0で完勝。

グループD

アルアイン(UAE) 1−2 エル・ジャイシュ (カタール)

アル・アハリ(サウジアラビア) 2−1 ナサフ(ウズベキスタン)

今冬、サンフレッチェ広島から加入したFWドウグラス擁するアルアインは、元フランス代表選手であり、2014年ブラジルW杯ではコートジボワール代表を指揮したラムシ監督率いるエル・ジャイシュに1−2で敗戦。2点を先制されたアルアインは、終了間際にドウグラスがPKを決め、1点を返すも、反撃もそれまでだった。

19歳でギリシャ代表デビューを飾り、25歳である現在までにギリシャ代表で25試合出場3ゴールを記録しているMFフェトファツィディスや、ASローマ(イタリア)などで活躍し、ウディネーゼ(イタリア)からローン移籍で加入しているブラジル人FWマルキーニョなどを擁する、アル・アハリと、昨シーズン、ウズベキスタンリーグ3位のナサフとの試合は、後半開始早々に決勝点を挙げたアル・アハリが2−1で勝利した。

今後も激戦必死の西地区

グループステージに進む前のプレーオフでは、FCバルセロナで一時代を築いた元スペイン代表MFシャビ擁するアル・サッド(カタール)がアル・ジャジーラ(UAE)に敗れている。そのアル・ジャジーラも第1節では前述したようにトラークトゥール・サーズィー(イラン)に0−4に敗れていて厳しいスタートを切っている。

東地区同様に一筋縄ではいかない試合が繰り広げられている西地区のグループ。今日から始まる第2節、さらには第3節、第4節…決勝トーナメントと続く今後の試合も激戦が予想される。

日本勢が配置されている東地区のグループに加え、西地区のグループにも注目して観てみてみると、ACLをより一層楽しめるかもしれない。

そして、11月の決勝戦では、激戦をくぐり抜けた西地区のクラブと、東地区での厳しい試合を勝ち抜いてきた日本のクラブとが顔を合わせ、日本のクラブが勝利することを願ってやまない。

プロサッカー選手

1982年広島市生まれ。中央大学卒業。アルビレックス新潟シンガポールを経てアビスパ福岡でプレーした後、徳島ヴォルティスでは主将を務め、2011年ラトビアのFKヴェンツピルスへ移籍。同年のUEFAELでは2回戦、3回戦の全4試合にフル出場した。日本人初となるラトビアリーグ及びラトビアカップ優勝を成し遂げ、2冠を達成。翌年のUEFACL出場権を獲得した。リーグ最多優勝並びにアジアで唯一ACL全大会に出場していたウズベキスタンの名門パフタコールへ移籍し、ACLにも出場。FKブハラでも主力として2シーズンに渡り公式戦全試合に出場。ポーランドのストミールを経て当時J1のヴァンフォーレ甲府へ移籍した

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