2014年に新たな旋風を巻き起こす!?「バイラルメディア」が急成長する理由とは

柴田泰成 | サムライト株式会社代表取締役/CyberTimes編集長

バイラルメディア

ヤフーニュース読者の皆さん、はじめまして!

CyberTimes[シバタイムス]という個人ブログでweb業界やスタートアップ関連の情報を更新している柴田です。今回、縁あってヤフーニュース個人で執筆する機会を頂くことになりました。

ということで、第一回目の投稿は新年らしく、web業界における2014年の注目トレンドをお届けしたいと思います。

ずばり注目は、米国において史上最速のスピードで訪問者を急増させている「バイラルメディア」でしょう。

数ヶ月後には国内でも流行するのではないかと思います。

■バイラルメディアとは

バイラルメディアとは、動画や画像を中心としたブログ形式のニュースサイトを指します。

特徴としては、SEOによる流入獲得を主眼においたこれまでのwebメディアと異なり、Facebook等のソーシャルサイト上での拡散に注力していること。

俗に言う「バズる」コンテンツをソーシャル経由でユーザーに提供し、短期間で膨大なトラフィックの獲得を狙うのがバイラルメディアの手法です。まとめ系のコンテンツや、動物のユニークな画像、感動的なストーリーなど、思わず友達にシェアしたいと思う様な内容で構成されます。

このバイラルメディア、米国で爆発的な急成長を見せていますが、特に2013年の後半からは驚異的なスピードで利用者を増加させており、日本においてもそのトレンドを追従するサービスが立ち上がり始めています。

という訳で、以下にバイラルメディアの代表的なサイトをご紹介したいと思います。

■Upworthy (アップワーシー)

アップワーシー
アップワーシー

米国の代表的なバイラルメディア「Upworthy (アップワーシー)」は、史上最速のスピードで急成長していると言われています。2012年3月のサービス開始からわずか2年弱で、既に月間ユーザー数が9,000万人近くにものぼるほど。

以下のグラフで注目すべきは、ここ最近の数ヶ月で訪問数が倍増している点でしょう。2013年の10月時点では4000万人程度と見てとれますが、2013年11月時点では8900万人と急激に利用者が増加しています。特にモバイル経由でのトラフィックの伸びが著しいようです。

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コンテンツ内容については、リベラルで社会的意義の高い情報を伝えることをミッションとしており、人権や貧困問題などを扱っています。

既にwebに上がっている動画や画像コンテンツを50名ほどの担当者がキュレーションし、記事タイトルを入念に検討して公開されます。タイトルについては、25通りものパターンを考えるのだそう。徹底的なA/Bテストの実施により、ソーシャルでのバイラルが発生するコンテンツ及びタイトル設定を突き詰めている結果が、これだけの急成長につながっていると言えるでしょう。

基本的なコンテンツの構成は数行の説明文に動画や画像という非常にシンプルなもの。ソーシャルボタンが動画の上下に配置されており、シェアを促すようなUI設計が見受けられます。

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シンプルなフォーマットなだけに、どこかで必ず頭打ちになるような気もしますが、Upworthyのこの勢いがどこまで続くのか非常に注目です。

■BuzzFeed(バズフィード)

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BuzzFeedは先日、月間訪問者数が1.3億人を突破した急成長中のバイラルメディアです。2006年にハフィントンポストの共同創業者らによって開始され、ここ数年でソーシャル拡散を狙うことにより拡大したサイトと言えます。

以下のデータをご覧頂ければ分かる通り、2013年に入ってから急激に訪問者を伸ばしています。

Upworthyと同様、モバイル流入の伸びが顕著ですね。

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コンテンツについては、リスト記事と呼ばれるまとめ系の記事が特徴ですが、動画やクイズ形式などのコンテンツも充実しています。こちらのキャプチャは動物の画像についてユーザーにクイズを出すというコンテンツ。かわいい動物の画像とソーシャルの相性は相当良さそうです。

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また、収益源についても従来のwebメディアのようなバナー広告頼りでは無く、ブランドコンテンツ(ネイティブ広告)と呼ばれる記事広告によってマネタイズを図っているのだそう。何でもネイティブ広告だけで既に6000万ドルの売上を出しているとのことで、2014年にはさらに倍の1.2億ドルまで伸びることが予想されているようです。

ブランドコンテンツについては、東洋経済オンラインによる取り組みの事例を以前私のブログでご紹介しましたが、国内メディアも新たなマネタイズの方向性としてこれらに注力していくことが予想されます。

■Know More

2013年8月にAmazonのCEOジェフ・ベゾス氏によって買収されたワシントン・ポストが10月に開始したばかりのバイラルメディア「Know More」にも注目。

Upworthyのように外部コンテンツをキュレーションする方式を採用しており、動画やグラフ、チャートと少しの説明文で構成されています。

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コンテンツの詳細を見たい場合には「Know More」ボタンでキュレーション元の外部サイトへ誘導し、そうで無い場合には「No More」ボタンで記事を閉じるというユーザー体験が非常にユニークです。

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わずか2名という少人数の体制で運用されているというこのKnow More。キュレーションのセンスとタイトル設定に工夫を感じます。低迷を続けるワシントンポストの起爆剤となるか、非常に注目です。

■日本のバイラルメディアの状況

国内でもつい先日、家入一真氏がUpworthyライクなバイラルメディア「dropout」を立ち上げたとの発表があったばかり。2013年の12月からテスト公開されており、1ヶ月間で70万人のユーザーが訪れたようです。

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また同様に先月、Whats(ワッツ)という動画メディアもリリースされています。

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ともにサイトは非常にシンプル。短い説明文に、動画があるのみです。

コンテンツ内容は当然のこと、FacebookとTwitterの投稿ボタンが大きめに設置されているところも含め、Upworthyを意識した作りとなっています。

東洋経済オンラインも春頃に動画メディアを立ち上げるということが言われていますが、日本版Upworthyを狙うサービスが続々と誕生してきそうな予感です。

■バイラルメディアが躍進する理由

最後に、なぜバイラルメディアが急激に存在感を示すようになってきたのかという点について。

まずは、スマートフォン利用者の増加と、それに伴うユーザーのコンテンツ接触方法の変化が理由の一つと考えられます。

スマホ利用者の増加については様々なデータで既に立証されているため、あえてソースを示す必要は無いかと思いますが、それに従ってユーザー体験が大きく変化してきています。つまり、スマホに適したコンテンツが求められるようになってきたのでは無いかと。

スキマ時間などに手軽に接触できるコンテンツのボリューム感と、感情に訴えかけるようなコンテンツの中身、またそれらを簡単にソーシャルメディアへシェアが出来る機能性という観点から、「スマホ×ソーシャル時代」に最適なコンテンツを提供出来ているのがバイラルメディアだと言えます。

次に、ソーシャル拡散の仕組み自体も変化してきている点です。

実は2013年12月に、Facebookがアルゴリズムを変更。シェアの多いリンク記事の情報が優先掲載される仕組が採用されています。(参考:Facebook、ニュース記事重視のアルゴリズムに変更へ CNET Japan)

これによって、特にモバイルでの閲覧時にニュース記事へのリンクが多く表示されるようになり、質の高いコンテンツが優先的にユーザーへ届けられるように。これがバイラルメディア急成長の追い風になっていると言えるのでは無いでしょうか。

上記で示したUpworthyとBuzzFeedのデータ(直近のモバイル流入の激増)がまさにそれを示していると感じます。

従来のwebコンテンツはいかにGoogleからトラフィックを集められるかという、いわばSEOの勝負が主流でした。当然現在も(そして今後も)多くのユーザーがGoogle検索を利用する状況は大きく変わらないと考えられるため、SEO観点でのコンテンツ設計は非常に重要な要素です。一方で、検索ユーザー全体の総数はこれ以上劇的には増えませんし、対象コンテンツの対策キーワードについても検索クエリ数そのものは上限がありますので、限られたパイの奪い合いという状況と言えます。

バイラルメディアの爆発的な急成長が、これまでの集客において外せなかったGoogleの土俵以外で起こったという点は非常に興味深いです。Googleのアルゴリズムを研究するSEO対策のように、今後ますます改良が予想されるFacebookのニュースフィード表示アルゴリズムを研究することが、スマホ×ソーシャル時代のサイト集客に必要となってくるのかもしれませんね。

柴田泰成

サムライト株式会社代表取締役/CyberTimes編集長

1983年生まれ。愛知県出身。2006年楽天株式会社に新卒入社後、複数の新規事業立ち上げを経験。2010年に楽天社内の新規事業コンテスト優勝(1700件中1位)。2012年にリクルート入社後、家具情報サイト「TABROOM」を立ち上げる。13年5月にインキュベイトファンド主催の「Incubate Camp 5th」で優勝。2013年9月、企業のコンテンツマーケティング及びオウンドメディア運営を支援するサムライト株式会社を設立し、代表取締役に就任。個人ブログ「CyberTimes[シバタイムス]」を運営。

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