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ミスは3回続いたらアウト! 酒井高徳が語る、DFの闘い

清水英斗サッカーライター
ワールドカップアジア2次予選、シリア戦より(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

7日に日本代表が対戦するボスニア・ヘルツェゴヴィナは、間違いなく厄介な対戦相手と言える。

長身でパワフルな選手が多く、球際の競り合いには抜け目がない。3日に行われたデンマークとの試合では、ドリブルしながら相手のユニフォームを引っ張ったり、空中戦で肘を向けてきたりと、球際ではゲリラ戦を仕掛けていた。品行方正な日本代表としては、いちばんやりづらい相手かもしれない。

その一方、ビルドアップはそれほどうまくない。

中央からの攻撃はあまり脅威がなく、注意すべきはサイド攻撃とクロス、セットプレーだ。日本としては、両サイドの守備力がキーポイントになる。

また、日本が高い位置からプレッシングに行けば、おそらくボスニアはつなぐのを諦め、早い段階でロングボールを蹴るだろう。日本は高い位置のプレッシングに重点を置くのか、あるいはロングボールの落下地点でセカンドボールを拾うことに重点を置くのか。ボランチのポジショニングも重要だ。

これらの過程で後手を踏めば、ただでさえゴール前で脅威になるフィジカルモンスターの相手FWジュリッチに対し、吉田麻也と森重真人が良い準備をできなくなる。ボスニアの得意な攻撃パターンを、できるだけ出させないようにしたい。

ミスが3回続いたら失点する

ブルガリア戦の反省として注目したいのは、後半の試合運びだ。

ブルガリアに前半からフルパワーで立ち向かった日本代表は、後半の途中からスローダウンし、相手を待ち受けるカウンターシフトに移った。しかし、大量点の油断があったのか、“自滅”と言うしかない2失点を喫した。

これらの失点について、酒井高徳は次のように見ている。

「時間帯と得点差を考えたときに、チームが“ふっ”となってしまった。それがいちばんの要因かなと思う。一人を焦点とした問題じゃなくて、チーム全体でふわっとなり、失点を許してしまった。2失点目のところも、パスミスから相手にボールが行ったところ。“これぐらいでいい”と、何となく回し始めた時間帯だったし、不正確になったボールをそのまま持って行かれた。どっちも防げた失点。点差に関係なく、そういう場面は90分の中にどこかある」

90分の中でわずかに陥る“ふっ”を、いかに防ぐか? 酒井高は、「3回目のミスを防ぐこと」をキーポイントに挙げている。

「相手にやられたとしても、最後の失点に関わるところで、身体を張れるかどうかを、もっと見たほうがいいかなと思うんですね。ミーティングではエイジさん(川島永嗣)の飛び出し方を監督も注意していたし、そこでもっと迫力があって行けたら、防いでいたかもしれない。2失点目でいえば、ワタル(遠藤航)が体重を崩すような形にさせられた。もっと粘り強く、シュートを打たせちゃいけないと思うし、あの角度からなら、尚更打たせちゃダメだと思う。よく言われるのは、ミスが3回続いたら失点するということ。3回目のミスを防ぐようにDF陣が意識して修正すれば、全体がダレる時間も失点を防げるのかなと。自分はそういうところを意識してやっていきたいと思います」

ミスが3回続かないように、負の連鎖を断ち切る。それをDFがやれれば、たしかに、悪い時間帯でも失点しない。

そう言われてみて思い出すのは、ブラジルとの過去の試合だ。今まで日本代表はブラジルと対戦し、それなりに良い試合を見せながらも、なかなかゴールにたどり着けなかった。そういう試合は、まさにブラジルのDFに、3回目のところでシャットアウトされてきた。

同じことを日本のDFもやれるのか。“3回目のミスを防ぐこと”に着目したい。

サッカーライター

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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