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韓国芸能界を侵食する魅惑の“マッスル美女軍団”。したたかに日本進出も画策中!?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国で人気のマッスル美女たち(写真提供:SPORTS KOREA)

最近、電車に乗れば「結果にコミットする」パーソナルトレーニングジムの広告が目に入り、書店に行けば“結果の出るダイエット”(『日経ヘルス』)、“目指せ!脱げるカラダ”(『Tarzan』)といった大特集を組んだ雑誌をよく見かけるようなった。梅雨明け間近で本格的な夏の到来が迫ってきたことで、美しく健康的な肉体を手に入れたいと願う人々が多いせいだろう。そうした願望は韓国でも強く、特に最近は“フィットネス・ブーム”に沸いていることもあって駆け込み式にスポーツジムに通い始める人やダイエット本が続々と発刊されている。

日本との違いがいくつかあるとすれば、韓国では“マッスル美ボディ”への関心が高いことだろう。“奇跡のDカップ女神”ユ・スンオクが火をつけた“マッスル美女ブーム”によって、韓国では女らしさを保ちつつ日々のトレーニングで鍛えた“褐色の美ボディ”が美しさのひとつとして定着している。先日もソウルで『HTVコリアフィットネススター・チャンピオンシップ大会』が行われ、大きな注目を集めた。

(参考記事:写真20連発!! 韓国ソウルで行われた“マッスル美女”たちの大会がド迫力!!)

また、特定のジムやダイエット方法に注目が集まるのではなく、フィットネス・トレーナーたちがタレント化していることも韓国の特徴だろう。最近はとあるボディビルコンテストに出演した動画がネットで拡散されて一躍有名になった “とろけてしまいそうな牛乳肌のマッスル美女”ソ・リナという新鋭も登場している。

彼女たちはフィットネス番組だけでなく、バラエティ番組にも頻繁に顔を出していることは以前も紹介したが、最近はより深く幅広い芸能活動を展開するようになっている。

例えば“脱アジア級スタイル”レイヤンは、この7月からついに役者デビューしている。カンヌ国際映画祭で主演女優賞に輝いた実力派女優チョン・ドヨンの11年ぶりのドラマ復帰作『グッド・ワイフ』で、チョン・ドヨンの夫(ユ・ジテ扮)の不倫相手を演じ、チョン・ドヨンと堂々と張り合って話題になった。

“完璧ホディのナチュラルビューティー”というキャッチフレーズで知られるイェ・ジョンファは、この夏、韓国で公開される話題の映画『釜山行』のプレミア試写会に参加し、レッドカーペットを颯爽と歩いて話題になっている。アニメ『ルパン三世』のヒロイン・峰不二子を彷彿させる美ボディが自慢で、まさに“リアル峰不二子”といった感じだが、その美ボディ健在をアピールした格好だ。アイドルたちに交じってラッシュカード姿も披露して話題にもなった。

(参考記事:韓国アイドルたちのセクシートレンドは、水着ではなく“ラッシュガード”!!)

もちろん、“国宝級ヒップラインのビキニ女神 シム・ウトゥムや、“才色兼備の美肌ピラティス伝道師”ヤン・ジョンウォンなどフィットネス・タレント第2世代も活発に芸能活動を展開している。二人揃って韓国の人気ウォーターリゾート『カリビアンベイ』の広告モデルに起用されることになった。

6月にアメリカで行われた「FITNESS UNIVERSE WEEKEND 2016」でミスビキニ部門1位に輝き、“キュートの筋肉女神”と呼ばれるチェ・ソルファにはメディア取材が殺到。とあるメディアの取材では「カラダ作りは“第2の美容整形”」と語って話題を呼んだ。

米国イベントを制したキュートな美少女“マッスル・クイーン”に韓国も注目!! ヤフーニュース個人 2016/06/28

そんな中でも突出しているのは、やはりユ・スンオクだろう。彼女はその芸能活動の範囲を国外にまで広めつつある。というのも、中国のアリハバが投資する中国映画『デノェ』の主演に抜擢されたというのだ。撮影は9月から始まるそうだが、その準備のために何度が北京に足を運んでいることを自身のSNSでも明らかにしている。

それだけに気になるのは“マッスル美女軍団”の今後の展開だ。韓国フィットネス&ダイエット業界が中国進出も目論んでいることは以前に本欄で紹介したが、ユ・スンオクはすでにその流れに乗っているわけだ。

それに中国進出があるなら、日本進出も念頭に置いているはず。実際、過去には“モムチャン・アジュンマ”ことチョン・ダヨンが“モムチャン・ダイエット”を引っ提げて日本に進出し、テレビや雑誌などでも大きく取り上げられた。著書はベストセラー、DVDやTVゲーム(Wii)にもなっているほどだ。とある日本の出版社関係者もこんなことを言っていた。

「韓国の有名トレーナーのダイエット本や肉体改造本を出す日本の出版社は多いんですよ。チョン・ダヨンさんだけでなく、過去にはペ・ヨンジュンのパーソナルトレーナーや、元KARAのク・ハラを指導するコーチのダイエット本が出版されています。数年前に韓国で“韓流ダイエットキング”としてブレイクしたショーン・リーも本を出している。ショーン・リーは日本での出版を機に、日本での本格的な芸能活動を画策したこともあったほどです。ユ・スンオクの本も、韓国のエージェンシーを通じていくつかの日本の出版社に版権契約の打診があったそうです」

韓国芸能界を侵食中の“マッスル美女軍団”。そんな彼女たちが近い将来、日本にやって来る可能性も十分にあるわけだ。韓国の“マッスル・ビューティー”を迎え撃つべく、日本のフィットネス&ダイエット業界も、今から鍛えておくべきかもしれない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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