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東京都知事選挙が羨ましい!? 立候補者の4割が“前科者”、サイバーテロ…トラブル続きの韓国選挙事情

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

いよいよ佳境に入った東京都知事選挙。各紙世論調査などを見ると、小池百合子氏、増田寛也氏、鳥越俊太郎氏の3候補の争いという様相を見せている。激戦が続いているわけだが、日本の首都の知事選挙ということでお隣・韓国の注目度も高い。

「東京知事選挙“3つ巴”…紅一点の小池が先頭」(『ニュース1』)、「東京都知事選、3つ巴が熾烈…事前投票1.6倍に期待感」(『アジアトゥデイ』)、「女性東京知事は誕生するか、女性候補“小池”先頭を維持」(『女性新聞』)、「東京知事、野党単一候補に“女子大生セクハラスキャンダル”」(『NEWSIS』)などの見出しが飛び、今回の都知事選を詳細に分析するメディアもあるほどだ。

小池氏が優勢とはいえ、誰が都知事の椅子に座るかは最後までわからない。『朝日新聞』の都知事選情勢調査によると、「投票態度を明らかにしていない人が4割」いるそうで、彼らの投票先次第で結果は大きく変わる可能性がある。ただ、立候補者の過去のスキャンダルなども明るみになっており、一部からは「消去法で選ぶしかない」という声も出ているようだ。

それでも、韓国の知事選挙に比べればマシかもしれない。韓国では立候補者の資質の問題や、選挙トラブルが尽きないからだ。

例えば、韓国の主要8都市などの首長、議員、教育監(教育庁のトップ)を選出する「全国同時地方選挙」。直近となる2014年6月4日に行われた同選挙の立候補者たちには、“前科者”が多かったという話がある。その数、実に全立候補者の4割弱というのだから驚きだ。

(参考記事:立候補者の4割弱が“前科者”!? 韓国の市・道知事を決める地方選挙の実態

また、現在のソウル市長パク・ウォンスン氏が当選した2011年10月26日のソウル市長選挙では、不可解なトラブルも。投票日当日の9時から12時に中央選挙管理委員会のホームページと、パク・ウォンスン候補(当時)のホームページが突然接続できなくなる事件が起こったのだ。これによって投票所を検索しようとした市民たちが混乱する事態になっている。後に韓国国会はこの事件を「サイバーテロ」と規定して特別検事制法(特検法)を通過させており、サイバーテロを指示した政治家秘書らは有罪判決を受けた。

ちなみにこのときのソウル市長選挙に立候補してパク・ウォンスン氏に敗れたのは、“美しすぎる国会議員”とされる与党ハンナラ党のナ・ギョンウォン氏だった。

(参考記事:黒木瞳にそっくり!? 韓国で“選挙の恋人”と呼ばれる美しすぎる議員ナ・ギョンウォン

知事に関する選挙ばかりではない。当選した政治家たちの腐敗が深刻だという指摘も尽きない。

国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2015年版の「腐敗認識指数」を見ても、日本やアメリカに比べて韓国の政治家の腐敗が蔓延していることは明かだろう。日本が上位にランクインするなか、韓国の腐敗認識指数が悪かったことは数字がはっきりと表していた。

それを証明するかのように、国会議員となった後に、自らの資産を急増させる政治家もいる。

つい先日も、とある政治家が「国会議員をしている間に資産が9.3倍も増えた人物がいる。どうやったらそれほど資産を増加させることができるのか。特別なノウハウがあるのであれば、地域住民たちに公開するべきでしょう」などと皮肉を言う有様だ。

(参考記事:国会議員の平均資産額は日本の約5倍!? 韓国の政治家はなぜ儲かるのか

投票日が迫りますますのヒートアップが予想される東京都知事選挙。韓国でもその結果に少なくない興味が注がれていることだけは間違いないだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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