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美人女優や人気アイドルも大胆告白する美容整形大国・韓国の今どきの価値観

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
ソウル市内の地下鉄構内にあった美容整形外科の広告看板(著者撮影)

最近、興味深いデータが発表になっている。国際美容整形学会(ISAPS)が発表した調査結果だ。同団体に加盟する全世界3万5000人の整形外科専門医を対象にしたアンケートによると、2015年にもっとも美容整形手術の施術が多かったのはアメリカで、韓国は3位だったという。

韓国が美容整形大国として有名なことは今に始まったことではない。昨年6月にはアメリカの日刊紙『ワシントンポスト』が韓国の美容整形事情を大特集し、「韓国は美容整形共和国、ソウルは美容整形の首都」とまで報じられたほどだ。

そのため、韓国女性たちの美を競う“祭典”として知られるミス・コリアにはいつも“整形疑惑”がつきまとい、海外メディアからも「全員同じ顔で見分けがつかない。美容整形大国・韓国を象徴している」と指摘される。今年の“ミス・コリア眞”に輝いたキム・ジンソルさんにも整形疑惑がつきまとったほどだ(本人はテレビで否定している)。

(参考記事:一挙公開!! ミス・コリア2016選抜大会、総勢34人!!

もっとも、最近の韓国では整形したことを隠すどころか、「美貌を保つ秘訣はエステと整形」と堂々と告白する女性たちも多い。

2012年のミス・コリア眞で現在はタレントに転身したキム・ユミが、「韓国を代表する美の使節団であるミス・コリアが自然美人ではないということに失望されるかもしれませんが、目と鼻を整形しました」と告白したことは以前もこの欄で紹介したが、最近は有名女優やK-POPガールズアイドルの中にも、あっさりと整形の事実を認めてしまうほどなのだ。

(参考記事:大物女優やアイドルも大胆公表!! 整形マスクを告白した韓国芸能界のスターたち

その一方で、整形疑惑に悩まされる者も多い。ネット上では芸能人や著名人の整形疑惑が話題になり、過去写真などが流失。ネットユーザーたちは自分や恋人の整形事実は棚にあげて、あれこれと言いたい放題を繰り広げる。

先日、インタビューした韓国人気ナンバーワン・チアドルのパク・キリャンも整形疑惑に悩まされたひとりだ。彼女は両親までテレビ番組に出演し、整形疑惑を否定せねばなかった。

しかも、最近は顔の整形だけでなく肉体改造にも関心が高まっている。とあるアンケート調査では「顔よりもスタイルが良い人のほうが羨ましい」と答える人が60%近くいたことが明るみになり、「整形よりも肉体改造」という美ボディも追求する雰囲気なのだ。

ただ、その“美ホディ”が群を抜いていると、肉体にも疑惑の目が向けられる。マッスル・ブームの火付け役で“奇跡のDカップボディ”と呼ばれるユ・スンオクは豊胸手術を受けた疑いがネットで持ち上がり、テレビ番組でわざわざ診断書とレントゲン写真まで公開して否定させばならなかった。

平然と整形を告白する者が増えている一方で、見た目が良いと常に整形容疑が持ち上がる現実。それが今の韓国でもあるのだ。

興味深いのは、整形に関心を示すのは女性たちだけではないということだろう。以前、雑誌の取材で美容整形クリニックが密集するソウル・江南地区のとある美容整形クリニックを訪ねたことがあるが、韓国では男性たちの間でもプチ整形が一般的になりつつあるという。

「最近は患者の10人に5人が男性。かつては芸能人志望男性が多かったが、最近は弁護士や会社役員なども増えてきました。鼻を整形したり、目元にアートメイクをするのが一般的ですね」

老若男女を問わず、「プチ整形は当たり前」という認識が潜在的にある韓国。もしかしたら整形に対する考え方が、そもそも日本とは違うのかもしれない。

ちなみに冒頭で紹介したISAPSの調査で2位は、リオデジャネイロ五輪に沸くブラジルだった。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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