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五輪アスリートが女性スイマー盗撮の衝撃!! 不祥事が続く韓国水泳界

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

リオデジャネイロ五輪の感動の余韻に水を差すような事件が韓国で起きた。韓国の男子競泳選手が女性更衣室に、超小型カメラを人知れず設置し、同僚である女性スイマーたちの着替えを盗撮していたというのだ。

しかも、その盗撮の現場となったのはナショナルトレーニングセンター。韓国エリートスポーツ養成の総本山である“テルン選手村”の第二施設として2011年にオープンしたチンチョン(鎭川)選手村の女性更衣室だった。テルン選手村もチンチョン選手村も最新鋭の設備を備え独特の強化プログラムも自慢の施設だっただけに、そこが“盗撮現場”になっていたことへのショックは大きい。

韓国では昨年夏、国内最大級ウォーターパークの女性更衣室で大規模な盗撮騒ぎが発覚して社会問題になったが、それを凌ぐ衝撃だ。まさか国を代表してオリンピックに出場した選手が女性更衣室を盗撮していたとは……。

(参考記事:人気ウォーターパークで発覚し韓国の社会問題になった衝撃の大規模盗撮事件

複数の韓国メディアの報道によると、盗撮していたのは2012年ロンドン五輪にも出場した競泳選手Aだという。この選手はリオデジャネイロ五輪には出場しなかったが、リオデジャネイロ五輪開幕前の今年7月まで韓国代表とともに練習に参加していたし、リオ五輪に出場した競泳選手Bは、Aの盗撮を共謀していたというのだから驚きだ。

韓国は近年、盗撮事件が絶えずそれが大きな問題になることが多い。ソウル市内を走る地下鉄などでも盗撮が横行し、昨年はその深刻さが国会で議論されたこともあった。

とある弁護士によると、「スマートフォンやIT技術の発達もあるが、何よりも盗撮する側に罪の意識がまったくないことが問題」だという。実際、盗撮という犯罪に手を染める者の職業もさまざまで、中には社会的に地位が高い有名人も盗撮で現行犯逮捕されているのだから、呆れてしまう。

(参考記事:有名牧師にエリート法学生まで!! “盗撮天国”と化したソウル地下鉄の悪質な実態

ただ、もっと呆れてしまうのは韓国水泳界の対応だ。韓国メディアの報道によると、今年4月には女子選手の間でも前出のA選手が盗撮している噂が高まっていたが、黙認する雰囲気があったという。そうした雰囲気に耐え切れなかった元代表選手が告発したことで事件が明るみになった。韓国メディアの取材に対して韓国競泳コーチ陣たちはリオ五輪後に事態を把握したとしているそうだが、それは言い訳にならないだろう。

まして韓国水泳連盟は今年3月には、連盟の副会長や総務理事など6人が不拘束起訴されている。それも競技団体とは思えない信じがたい賄賂と横領のオンパレードだった。リオ五輪では期待のパク・テファンも不振に終わったなか、今度は代表選手の盗撮事件まで発覚したのだからさらなる批判は免れないだろう。

(参考記事:“土下座スイマー”の汚名晴らせなかったパク・テファンの落日と韓国水泳界の驚愕すべき実態

韓国水泳連盟は今回の不祥事に対してどのような対応を見せるのか。リオ五輪の余韻が冷めぬなかでの失態に、韓国のスポーツファンたちが落胆の色を隠せないのは言うまでもない。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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