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気になる去就も言及。新体操界の美しき“妖精”ソン・ヨンジェは今、どうしているか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
リオ五輪では個人総合4位に終わったソン・ヨンジェ(写真:ロイター/アフロ)

リオデジャネイロ五輪の閉幕からもうすぐで1ヶ月が過ぎようとしている。そんな中で、韓国スポーツ界のアイドルの去就にふたたび注目が集まっている。新体操界の“妖精”ソン・ヨンジェだ。

その愛くるしいルックスから“国民の妹”“国民の姪”とも言われてきたソン・ヨンジェ。2010年広州アジア大会で韓国に新体操初のメダルをもたらしたときはまだ16歳だったが、気がつけば彼女も22歳になった。かつてはあどけなかった少女も、今では成熟した大人の女性の色気を漂わすようになったと評判だ。

(参考記事:少女から妖艶な美女へ!! 韓国カメラマンが追い続けたソン・ヨンジェ成長の記録)

ただ、リオデジャネイロ五輪では期待されたメダルにあと一歩届かず、個人総合4位に終わった。大会前から「成績とは関係なく、後悔のないオリンピックにしたい」と語っていただけに、リオ五輪を最後に引退宣言する可能性が高いと見られていた。

しかし、リオ五輪以降、ソン・ヨンジェはなかなか公の場に姿を見せず、引退について言及することも避けてきた。9月6日にはプロ野球のLGツインズのホームゲームで始球式を務め、新体操選手らしい投球フォームを披露して話題になったが、そこでも今後の去就について語ることはなかった。

(参考記事:オリンピック後も可愛い 韓国新体操の美少女、ソン・ヨンジェの始球式6連発!!)

そんな彼女が9月16日から行なわれている『世界新体操オールスター招待GARA SHOW 2016』の開幕に先立った記者会見で、初めて自身の今後について語ったのだ。

「リオ五輪後は『GALA SHOW 2016』の準備があったので、今後についてじっくり考える余裕がありませんでした」

『GALA SHOW 2016』はソン・ヨンジェが中心になって2011年から開催されてきた、いわば彼女のライフワークのようなものだ。韓国国内の新体操の普及のために、競技として新体操をするだけはなく、フィギュアスケートのアイスショーのようなエンターテインメント仕立てのものになっている。そこでは新体操の競技では見られない、ソン・ヨンジェの喜怒哀楽の表情を楽しめる評判だ。

(参考記事:“新体操の妖精”ソン・ヨンジェの名場面・珍場面・胸キュン場面ベスト32)

リオ五輪後はこの『GALA SHOW 2016』の準備に追われてきたこともあって、今後についてじっくり考える機会がなかったわけだが、ひとつだけ確かなことがあるという。

「リオ五輪後、4年後の東京五輪について尋ねられることが多いのですが、2012年ロンドン五輪後も“リオまでの4年は長く、これからどんなことがあるだろうか”と想像できませんでした。それでリオ五輪を準備する過程では“これが最後の五輪”と考えながら、すべての力を注いできました」

この言葉でもわかる通り、ソン・ヨンジェがリオを“最後の五輪”と位置づけていたのは間違いない。ただ、“最後の五輪=即引退”というわけではないようで、引退の時期についてはまだ決めかねているというのがソン・ヨンジェの本音のようなのだ。

「(引退については)今回の大会(『世界新体操オールスター招待GALA SHOW 2016』)が終わってから、再充電しながらじっくり考えたいと思っています」

充電期間を置くのはひとつの方法だろう。ソン・ヨンジェと何かと比較の対象になる“フィギュアスケートの女王”キム・ヨナもバンクーバー冬季五輪とソチ冬季五輪の間で充電期間を設け、在籍していた高麗大学での学業などに専念している。

(参考記事:韓国のフィギュア女王キム・ヨナは今、何をやっているのか)

延世(ヨンセ)大学のスポーツレジャー学科に籍を置くソン・ヨンジェも、大学のキャンパスに戻るのも良いかもしれない。実際、彼女のマネージメントを担当するギャラクシーSMの担当者によれば、今年前半はリオ五輪の準備のために休学していたらしく、今後は復学して来年夏の卒業を目指してしているらしい。

「ただ、4年後の東京五輪のとき、ヨンジェは26歳になっています。新体操選手のピークは世界的に見ても20代前半で、20歳そこそこで引退する者も多い。そう考えると、ソン・ヨンジェが東京五輪まで現役を続ける可能性はかなり低いのではないでしょうか」

旧知の韓国のスポーツ新聞記者にソン・ヨンジェの去就に意見を求めたところ、こんな答えも返ってきたが、果たしてソン・ヨンジェは今後、どんな充電生活を送り、どんな決断を下すのだろうか。

本日で最終日を迎える『世界新体操オールスター招待GALA SHOW 2016』後に、もしかしたらより具体的な今後のプランも明らかになるかもしれない。

“国民の妹”“国民の姪”と呼ばれるスポーツアイドルの去就には今後も熱視線が注がれそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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