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女子ゴルフのイ・ボミ、キム・ハヌル、チョン・インジの意外な共通点とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
意外な共通点があるチョン・インジ(左)とイ・ボミ(右)。(写真提供:KLPGA)

本日9月29日から始まる女子プロゴルフのメジャー第3戦『日本女子オープン』。日本人選手の活躍が期待されるなか、注目されるのは前回王者として久々に日本ツアーに出場する韓国のチョン・インジだろう。

2週間前にアメリカツアーのメジャー最終戦『エビアン選手権』で通算21アンダーでの優勝という快挙を成し遂げているだけに、勢いがある。

しかも、韓国はもちろん、アメリカや日本でもメジャータイトルを獲得し、“メジャークイーン”の異名を持つ逸材だ。今年で22歳とまた若く現役の女子大生でもあるが(現在は休学中)、その勝負強さは目を見張るものがある。「変数ではなく常数と戦う」という独特のゴルフ哲学とコース攻略法は、一般ゴルファーたちも参考になる発想として韓国でも取り上げられていた。

韓国ではこのチョン・インジと、昨季の日本ツアー賞金女王で今季も賞金女王レースの1位を走るイ・ボミの対決に注目が集まっている。韓国のゴルフメディア『マニアリポート』も「日本女子オープン、“メジャークイーン”チョン・インジvs“日本ゴルフ女王”イ・ボミが優勝に挑戦」と銘打った見出しとともに、日本女子オープン展望を紹介しているほどだ。

年齢もスタイルも異なるふたりだが、韓国メディアがふたりの共通点として挙げるのが“笑顔”だ。チョン・シンジはプレー中、常に笑顔を絶やさないことから“微笑天使”と呼ばれ、ご存じの通りイ・ボミは韓国時代から“スマイルキャンディ”と呼ばれてきた。人気の浮き沈みが激しい韓国女子ゴルフ界の新旧1位でもあるふたりは、笑顔が有名な女子ゴルファーでもあるのだ。

(参考記事:ゴルフ女王イ・ボミは韓国でも人気1位なのか

ただ、彼女たちの笑顔にはワケがある。例えばチョン・インジは、2年前に韓国ツアーで初めて予選落ちしたことが大きなキッカケになったという。重圧に負け、本来の自分を見失かったことに気づき、「自分らしく楽しく面白いゴルフをしよう」と思い直し、以降、コース上でも笑顔を絶やさなくなったという。

イ・ボミの笑顔は彼女のポジティブ思考の表れだ。しかも、彼女はファンやギャラリーにも笑顔を振りまく。以前、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)の取材でも「ファンの声援には笑顔で応えたい」と話しているが、イ・ボミは笑顔を力に変えるタイプなのだ。

(参考記事:国内復帰した女王イ・ボミがKLPGAにだけ明かした意外なエピソードとは?

ちなみに韓国にはもうひとり、笑顔が有名な女子ゴルファーがいる。日本でも活躍するキム・ハヌルだ。キム・ハヌルといえば、「ミニスカートを履き続ける理由」も有名だが、ピンチやミス時も微笑を絶やさないことから韓国時代から“微笑天使”、“微笑クイーン”とも呼ばれてきた彼女は、日本では“スマイルクイーン”の愛称で有名なのだ。

どんなときも笑顔を忘れないイ・ボミ、キム・ハヌル、チョン・インジ。韓国の女子プロたちの多くはSNSなどでプライベートを積極的に公開し、そこでもたくさんの笑顔や意外な表情を披露しているが、彼女たちがグリーン上で見せる“笑顔”はSNSのそれとは明らかに異なる。

(参考記事:日本は逆行!? 韓国の“ポスト”イ・ボミたちのSNSがスゴい!!

韓国メディアはその笑顔の裏側に、「強いメンタルがある」と評価する。一般紙『毎日経済』も、「女子ゴルフの勝負師たちの共通点はグリーン上の“鋼鉄メンタル”」と題した記事の中で、こう綴っていた。

「イ・ボミ、キム・ハヌル、そしてチョン・インジの微笑みには、根性がある。彼女たちはミスショットを出しても怒りを露わにせず、笑顔で解決する。痛みを堪えた笑顔はより眩しいものだ。そして強い。彼女たちの笑顔は、“鋼鉄の笑顔”のだ」

そんな“鋼鉄の笑顔”の持ち主たちが虎視眈々と狙う『日本女子オープン』のタイトル。はたして今日から始まる大会で、最後の最後に会心の笑顔を浮かべるのは誰だろうか。韓国人選手の笑顔もさることながら、日本人選手の笑顔にも期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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