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気鋭のクリエイターRotta(ロタ)が語る『Girls 少女たち』とニッポン(後編)

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
Rotta(ロタ)の写真集『純粋』の一枚(写真提供:Rotta)

今、韓国で最も注目されているクリエイターと言われるRotta(ロタ)。

自分のことを“成功したオタク”と公言するロタは、1998年に韓国政府が行った「日本大衆文化解放」の影響を受けた世代でもある。洪水のように流れ込んだ日本の漫画・アニメ・ゲームを消費し、その感性を育てた。

映画監督の岩井俊二監督や日本が世界に誇るポップアーティストの村上隆氏などとも交流があったと聞いて、まさにビックリの連続だった。特に村上隆氏は、ロタの写真集『Girls 少女』たちを見て、自身のSNSで「好み過ぎる!!」と大絶賛。わざわざ直々にロタのFacebookにコメントを残してくれたという。

(参考記事:クリエイターRotta(ロタ)がとらえた韓国美少女たちの世界

「日本」「美少女」「オタク」「電影少女」「ガンダム」「あだち充」。これらのキーワードを写真という形で表現し続けるロタ。それを韓国で意欲的に行っているのだから、頭が下がる。後編は、彼と日本とのつながりについて紹介したい。

H2、蜷川実花、岩井俊二が大好き

――写真集を出すきっかけがガンダムだったんですね。他に影響を受けた日本のサブカルチャーはありますか?'

まず言えるのは『きまぐれオレンジ☆ロード』ですね。ヒロインの「鮎川まどか」には、すごく影響されました。そして『電影少女』の主人公「天野あい」もです。他には『H2』『タッチ』などあだち充作品や、ガイナックス作品にも多大なる影響を受けたと思います。これらの作品の雰囲気が、僕の写真にも滲み出ているんじゃないでしょうか。

(参考記事:韓国で一番人気がある日本の野球マンガは『H2』!! でも『タッチ』は微妙なワケ

――では、“3次元”はどうですか。好きな日本のフォトグラファーは?

10年ほど前、蜷川実花さんの極彩色にすごく魅了されましたね。僕の作風とは一味違いますが、とにかくすごいなーと。また、横浪修さんもです。1000人の子供を同じ衣装、同じアングルで撮影するという、その一貫性のあるお仕事ぶりが好きですね。

――今でも「お元気ですかー」の名ゼリフが頻繁に使われるくらい岩井俊二監督は韓国で絶大な人気ですが、聞いたところによると岩井俊二監督と会ったそうですね。'''

お会いしたというか、これは僕だけの思い出かもしれませんが(笑)。脚本を書かれた『虹の女神』という映画を宣伝するため、2006年に岩井さんが訪韓したことがありました。その頃僕は写真記者をやっていたので、その様子を撮ったんです。もともと岩井さんのファンで、作品にもすごく影響を受けていました。だから一緒に写真撮って、サインもらって。それを友だちに自慢して(笑)。

篠崎愛とのコラボと村上隆との交流

――そうでしたか。ならば今度は“美少女専門フォトグラファー”として、撮ってみたい日本の美少女はいますか?

以前、取材で“篠崎愛さんが好きです”とアピールしたことがあるんですよ。そのおかげかもしれませんが、最近一緒にお仕事をさせていただきました。篠崎愛さんがモデルを務めるとあるゲームの限定版グラビア集の撮影でしたね。とても可愛い方で、ひとつ夢が叶いました(笑)。

――篠崎愛さんといえば、伝説の『MAXIM KORERA』表紙完売事件など、韓国でも人気者です(笑)。今度は逆にロタさんが日本に進出したい、という思いはありませんか?

もちろんありますよ。たしか去年、村上隆さんが僕のFacebookに「好み過ぎる!」とコメントを残してくださったことがあったんですが、その翌日に早速、村上さん率いるカイカイキキから連絡がきました。今企画中の展示会に僕も参加しないかって。ただ、当時は僕が忙しすぎて見送らせていただいたんですが、連絡をもらっただけでも僕には大事件でしたね。それが大きな勇気につながりました。

インタビューに応してくれたRotta(写真:本人提供)
インタビューに応してくれたRotta(写真:本人提供)

感性を育ててくれた日本のサブカル

――すごいですね。いずれ日本でもロタさんの写真展が開かれるんじゃないでしょうか。日本の写真集を出すくらい訪日されていますが、特に気に入った場所はありますか?'

僕は“東京”という都市が大好きです。文化、建築、ファッションなど、東京には日本人の生き方が詰まっていますよね。それを見ているとすごく勉強になるんです。そもそも、“日本に行く”自体が僕には勉強そのもの。僕の感性を育ててくれたのが日本のサブカルでもありますし、今もずっと日本の文化を消費していますから。そのすべてが僕の中に溜まって、写真という形に現れるんでしょうね。

――今、いろんな面白いお仕事をされていると思います。最近も韓国で人気女性アナウンサーとの艶っぽい写真集が大きな話題になりましたが、ロタさんのこれからの目標はなんでしょうか。

有名になりたいです(笑)。人々に僕の写真を見てもらい、僕を知ってもらいたい。そんな気持ちで頑張ってきました。韓国ではポジティブであろうが、ネガティブであろうが、ロタという名前はある程度知れ渡ったと思うので、今度は海外にも。日本はもちろんですし、台湾もいいですね。いずれ海外でも展示会をやって、写真集も出したいな。そのためにも、これからもっと頑張ります!!

●Rotta(ロタ)のinstagram www.instagram.com/_rotta_

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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