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サッカー専門誌による日本人Kリーガーたちへの容赦なき“格付け”4段階査定評価

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
FCソウルでプレーする高萩洋次郎(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

韓国には『Four Four Two KOREA』という月刊サッカー雑誌がある。その名の通り、イングランドのサッカー雑誌『Four Four Two』とライセンス契約を交わした提携誌で、韓国版は2007年に創刊。私は創刊以来、同誌で月に1回のコラムを担当しているが、その『Four Four Two KOREA』が最新号で興味深い特集をしていた。

題して「あなたの外人はお元気ですか? 2016年Kリーグ外国人選手評価」。まだシーズンは終了していないが、全日程の3分の2以上を消化した今、来季の補強ポイントも考えて、今季Kリーグでプレーしている外国人選手を査定しようという企画だ。

Kリーグ・クラシック12チームに所属する外国人選手を、「TOP RATED(最高の活躍)」、「APROVE(問題ないレベル)」「?(未知数)」「URGENT(活躍至急)」の4段階に分けて評価しているのだが、「TOP RATED(最高の活躍)」の評価がもっとも多かったのは、デヤン(モンテネグロ)、アドリア―ノ(ブラジル)、オスマール(スペイン)、高萩洋次郎(日本)らを擁するFCソウルだった。

FCソウルは7月にチェ・ヨンス監督が中国に生き抜かれ指揮官が変わっているが、高萩は、「ソウルの中盤の核としてファン・ソンホン監督着任後もレギュラーとして活躍している」と高評価だった。

(参考記事:監督交代のFCソウルと、日本人Kリーガー高萩洋次郎の行方)

蔚山現代でプレーする増田誓志の評価も悪くはない。「中盤のキープレーとして不動の主力になっている」として、「APROVE(問題ないレベル)」の評価を得ている。

2013年から蔚山現代に所属する増田だが、今季開幕前は退団説も流れ、「Kリーグ4年目の増田、正念場のシーズン」とさえ言われていた。

そうした状況を考えれば、29試合1アシストを記録している増田の安定した働きは高く評価されてもおかしくはないだろう。

ただ、今季から光州FCに所属する和田倫季は芳しくない。その評価は「URGENT(活躍至急)」と容赦ない。

もっもと、現時点で3試合0得点なのだから当然か。ヴィッセル神戸や京都サンガを指揮した和田昌裕監督の三男で、ヴィッセル神戸ジュニアユース出身の和田は、ある意味、日本ではサラブレットとなるが、韓国メディアは容赦しない。

和田は昨季夏に仁川ユナイテッド、今季から光州FCでKリーグ2年目のシーズンを迎えるいるが、正念場に立たされていると言えるだろう。

(参考記事:期待と崖っぷち!! Kリーグで活躍する日本人選手たちの本当の評判)

ちなみに今季開幕前のKリーグにはもうひとり、日本人選手がいた。京都サンガ、大宮アルディージャなどで活躍し、釜山アイパークに移籍した渡邉大剛だ。が、周知の通り渡邉は7月にJ2のカマタマーレ讃岐に移籍して日本復帰している。

Kリーグでの生活はわすがな期間だったが、日本と韓国の違いに戸惑いもあったのだろう。実際、本人もそれを認めつつ、容赦ないKリーグ批評も行っている。

(参考記事:日本人Kリーガー渡邉大剛が見て感じた“日韓サッカーの決定的な違い”)

もっとも、Kリーグに慣れずにシーズン途中に韓国を去った選手は渡邉大剛だけではない。Kリーグは意外と外国人選手の入り替えも激しい。

Kリーグ・クラシックでプレーする外国人選手の国籍分布をみると、ブラジル15名、オーストラリア5名、クロアチア、日本が3名、スペイン、セルビア、フランスが2名、アルゼンチン、ベルギー、オランダ、モンテネグロ、マケドニア、ベトナムが1名となっている。相変わらずブラジル勢が多いが、気が付くと日本人選手は第三の勢力になりつつある。

10月15日からはスプリット・ラウンドが始まるKリーグ。上位6チームのグループAは優勝争いを、下位6チームは成績次第では降格の危機にも直面するだけに、緊張の日々が続く。その中で日本人選手たちはどれだけ存在感を示せるか。注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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