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アイドルたちも乗り出す韓国のハロウィン仮装。そのコスプレ傾向と意外な悩みとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国でも若い世代の間でハロウィン仮装が季節イベントとして定着しつつある(写真:ロイター/アフロ)

10月31日の本番に向けて、「ハロウィン」関連のニュースを目にする機会が増えているような気がする。今年の仮装トレンドやユニークなコスプレ・アイデア、パーティーグッズの紹介などの情報を目の当たりにすると、今や日本でもハロウィンはすっかり季節イベントとして定着したという印象を受けるが、韓国でも近年、ハロウィンがひとつのお祭りとして定着しつつある。

ハッキリと断定はできないが、韓国でハロウィンが流行り始めたのは2010年頃だったと思う。ソウルの“六本木”とも言える梨泰院(イテウォン)界隈のレストランやバーで、ハロウィン・パーティーなどが行われるようになり、3~4年ぐらい前からはその様子を多くの若者たちがSNSなどでアップするようなった。

プライベートでハロウィン・パーティーを楽しむアイドルや芸能人たちの影響も大きかったのではないかと思う。有名なのは、SMエンターテインメントのタレントたちだ。東方神起や少女時代のメンバーたちが、アニメ・キャラクターに仮装した姿を進んで自身のSNSにアップするようになったのだ。

しかも、グループのトップであるイ・スマン氏もコスプレ姿を披露するなど、ハロウィン・パーティーを楽しむ姿をSNSに次々とアップし、それがメディアで記事にもなってきた。

こうした有名人や芸能人たちの影響もあって若い層、特に20代から30代前半の男女たちの間でハロウィン=仮装=パーティーというイメージが定着し、思い思いの衣装を着た仮装行列のようなものが各地の繁華街で行われるようになった。

昨今、韓国では『ONE PIECE』に登場するボア・ハンコックに変身して一躍、有名になったコスプレ女王TASHA”や、プロのコスプレイヤーとして活躍している“Doremi”など、芸能人ばりにその名を轟かすコスプレ女神たちが出現しているが、彼女たちをお手本にしながら思い思いのコスプレを楽しむ若者たちも多いらしい。

韓国メディアの報道によると、昨年のハロウィンでは梨泰院の街並みが通常よりも30%多い18万人以上(警察発表)の人々で埋め尽くされ、新村(シンチョン)や弘益(ホンイク)大学周辺など大学キャンパスが多い流行発信地にも大勢の若者たちが集まり、夜な夜なハロウィン・パーティーを楽しんでいたという。日本とまったく同じようなことが起きているわけだ。

韓国らしいと思うは、コスプレのテーマに関して若者たちの間でさまざまな意見があることだ。

ハロウィンの仮装の定番と言えば、魔法使いやプリンセス、ゾンビやドラキュラなどで、スーパーマンにバッドマンなどアメコミキャラなども人気だが、韓国では日本のアニメキャラクターなどに扮する若者たちも多い。日本アニメのコスプレ人気が、ハロウィンでもそっくりそのまま反映されていると言える。

だが、こうした海外キャラクター人気は韓国のコンテンツ不足の裏返しだと指摘する声もある。韓国オリジナルのキャラクタ―と言えば『ボロンボロン ポロロ』が有名だがハロウィンではあまり寵愛されず、そのほかにもこれといって有名なキャラもない。

日本オタクを自認する韓国の友人も言っていた。

「日本ならスーパーマリオもあるし、それこそ映画『リング』の貞子もあるじゃないですか。みんなが知る自国のキャラクターに変身する楽しみもあると思うんです。韓国には、それがないからイマイチ」

韓国ではリオデジャネイロ五輪の閉会式で披露された東京五輪のプレゼンテーション時も、「日本の文化とコンテンツの力を見せつけられた」と絶賛する声が多かったが、ハロウィンでも自国コンテンツの少なさを痛感させられるというのだ。

もっとも、そうした意見は一部の間で囁かれている嘆きであって、大多数の若者たちが日本の若者たち同様にハロウィンを楽しみにしている。

先日、韓国の就職サイトが大学生180人を対象に実施した「ハロウィンの楽しみ方」アンケート調査でも、10人に3.5人が「ハロウィンを楽しみしている」と答え、「誰と楽しむのか?」という設問に対しては、「恋人」(12.5%)、「家族」(37.5%)「友人たち」(43.8%)と、仲間たちと楽しむと答えた大学生が最も多かったらしい。

「コスプレして街を歩く」と答えた学生も25%もいたというのだから、今からその準備に追われていることだろう。

韓国の今年のハロウィンはどんな盛り上がりを見せるのだろうか。注目しておきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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