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韓ドラ俳優キム・スヒョンもハマる韓国「ボウリング事情」と「兵役の行方」

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
日本でも高い人気を誇るキム・スヒョンはプロボウラーになれるか(写真:アフロ)

韓国でスポーツ界と芸能界を股にかけるニュースが飛び出した。人気俳優のキム・スヒョンとK-POPグループFTISLANDのボーカルであるイ・ホンギが、プロボウラー試験を受験したのだ。

キム・スヒョンと言えば、日本でも放映された『太陽を抱く月』や中国で社会現象を起こした『星から来たあなた』など、数々のヒット作を誇る人気俳優。イ・ホンギもバンド活動の傍ら、ドラマ『美男<イケメン>ですね』なとで俳優としても活動し、日本でも人気を誇る。

そんな2人がプロボウラーテストを受験したと聞いてちょっぴり意外だった。韓国芸能界では男女を問わずK-POPアイドルたちにもスポーツ万能の“運動ドル”が多く、芸能人スポーツ王決定戦のような番組もある。

(参考記事:『炎の体育会TV』にも負けてない!? 韓国芸能界ナンバーワンの“運動ドル”は誰か!?

ただ、キム・スヒョンとイ・ホンギはプロテストまで受験したというのだから、その腕前と本気度は相当なものなのだろう。

なんでも韓国芸能界では最近、ボウリングが流行しているらしい。2人のほかにもボウリングを趣味とするガールズアイドルたちがいるほどだという。

(参考記事:韓国芸能界はボウリングが流行中!? プロボウラーに挑戦する韓流スターたち

もっとも、韓国では過去にもボウリングが人気だった。1970年代にはボウリングがブームとなり、1988年ソウル五輪ではボウリングが公開競技になっている。1995年には韓国プロボウリング協会も設立されて、プロボウリングがテレビ中継されることもあった。一時はビリヤード、卓球と並ぶ「韓国サラリーマンたちに人気の3大レジャースポーツ」とされたほどだ。

だが、90年代後半になるとそのブームも下火になり、プロボウリングの大会も縮小。特に男子プロボウリングは低迷し、2013年には年間6大会しか行われなかった。日本同様にボウリングはマイナースポーツに成り下がりつつあった。

ところが近年は大会数が増加。今年は賞金1億ウォン(約1000万円)以上の大会4つを含め、計14大会になり、10月初めてに行われた第18回コリアカップ国際オープン大会には、アメリカや日本のプロボウラーたちも多数出場した。ちなみに優勝は韓国のチェ・ジュンヒ、日本人最高は3位の森本健太だった。

韓国プロボウリング関係者によると、来年は20大会に増加する予定で近年はプロボウラーテストを受験する者も増えているという。数年前までは毎年20〜30人程度だったが、ここ2年は100人以上の受験者がいるというだから驚きだ。

そして、そのなかにキム・スヒョンとイ・ホンギも含まれていたわけである。

韓国では女優パク・シヨンなどはボクシング好きが嵩じて、全国アマチュア大会に出場して“美しすぎるボクサー女優”の別名を持つほどだが、プロテストまで受験した芸能人はいないだけに、2人の受験のニュースは芸能欄はもちろん、スポーツ・メディアでも大きく取り上げられている。

しかも、キム・スヒョンは第1次実技テストで31位、イ・ホンギは92位。今回のプロテストには114人が参加しており、平均190点が合否ラインとされていたが、その合否ラインを見事に突破したのだ。

韓国プロボウリング協会関係者によると、第1次実技テストを通過した2人は今後、第2次実技テストに臨み、11月下旬に行われる教育課程を経て最終的にプロテストの合否が決まるというが、個人的に気になるのは晴れてプロテストに合格してもキム・スヒョンがプロボウラーとして活躍できるか、どうかである。

というのも、キム・スヒョンには兵役のタイムリミットが着々と迫っている。1988年2月生まれのキム・スヒョンにはまだわずかな猶予は残されているが、現在、兵役服役中の東方神起やJYJのメンバー同様、韓流アイドルと兵役はナイーブな関係にあるだけに、彼もそろそろ入隊の時期を考えねばならないときなのだ。

現在、韓国芸能界では東方神起のユンホとチャンミン、JYJのキム・ジェジュンとパク・ユチョン、俳優兼歌手のイ・スンギなどが、それぞれの所属部署で兵役を務めているが、趣味やレジャーを楽しんでいるという情報は伝わってこない。キム・スヒョンも兵役で軍隊生活に入れば、大好きなボウリングも封印せねばならなくなるだろう。

(参考記事:あの韓国アイドルたちは今、軍隊でどう過ごしている?

ちなみにボウリングはアジア大会正式種目になっており、韓国は2014年アジア大会で韓国はボウリング種目だけで金7、銀1、銅6個と計14つのメダルを手にしてる。2位の日本が金2、銀1、銅0の計3つだったことを考えれば、韓国ボウリングのレベルの高さがわかるが、国軍体育部隊にはボウリングはない。

いずれにしてもトップ俳優と人気アイドルが晴れてプロボウラーとなれば、日本でも話題になりそうだ。日韓スター・ボウリング対決のようなイベントも行われるかもしれない。それはそれで“ドル箱マッチ”になりそうだが。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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