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BIGBANGのT.O.Pが兵役のために受験した「義務警察」と「特技兵枠」とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
義務警察選抜試験を受験したBIGBANGのT.O.P(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

やはりというべきか、ついにというべきか。韓国はもちろん、日本でも絶大な人気を誇るスーパーグループ“BIGBANG”の最年長T.O.Pの兵役の方向性が決まった。

複数の韓国メディアの報道によると、T.OPは昨日10月25日にソウル市警察庁で行われた義務警察選抜試験を受験したという。義務警察の公式ホームページにはT.O.P.の本名である「チェ・スンヒョン」と彼の生年月日も記されており、間違いないという。

韓国の兵役は何も現役兵として軍務に就くだけではなく、義務警察のような軍代替制度がある。その中でも義務警察は文字通り、警察という組織に身を置くことになる。この制度を使って現在は東方神起のチャンミンやSUPER JUNIORのドンへ、シウォンらが兵役を務めている。

(参考記事:東方神起チャンミンやSJのシウォンらが務める“義務警察”という名の兵役)

義務警察は警察の一種だが、国家公務員として正式に警察官になるわけではない。もちろん、殺人事件の捜査や凶悪犯罪の取り締りなど、刑事ドラマのようなことをするわけでもない。

あくまでも軍人として警察業務をサポートするという形で、主な任務も交通整理、防犯パトロール、集会・デモ管理などだ。配属される前には現役兵同様、新兵すべてが受ける別名「地獄の4週間」と呼ばれる軍事基礎訓練も受けなればならない。

ただ、T.O.Pが交通整理や集会・デモ管理に駆り出されることはないだろう。彼は「特技兵枠」に志願して身体検査と基礎体力テストを受けたという。

特技兵とは自分が持つ特殊な技能を生かす兵のことで、代表的なものでは英語や日本語など外国語が堪能な者が選抜される「語学特技兵」、バスやトラックなどの運転に長けた「大型車両運転要員」、Kリーガーやプロ野球選手、陸上、テコンドー、柔道、射撃の代表クラスが志望する「体育特技兵」などがある。

そのほかにも、「医療」「調理」「映像・記録」などいろいろあり、音楽面では管楽器などを得意とする者たちが年に3名ほど選抜される「楽隊特技兵」というものもあるが、T.O.Pの経歴からして志願したのは「芸能特技兵」だろう。

そして、晴れて合格となれば、ソウル市警察広報団に配属されているではないだろうか。

前出のチャンミン、ドンヘ、シウォンらもソウル警察広報団の一員として、全国各地の学校や地域コミュニティ、孤児院や老人ホームといった福祉施設を訪ね、公演活動などを通じて犯罪防止や安全対策などの啓蒙活動を実施している。

言わば“ソウル警察の顔”的存在の活動に従事しているわけだ。もしかしたら東方神起、SUPER JUNIOR、BIGBANGの夢の共演も実現するかもしれない。

(参考記事:警察官として兵役務める東方神起チャンミン、SJのドンヘ、シウォンの近況が明らかに!!)

ただ、入隊の時期は来年になりそうだ。BIGBANGは11月に韓国でニューアルバムの発表を控えており、11月5日からは日本でドーム・ツアーが始まる。東京ドームを皮切りに、福岡、大阪、名古屋、ふたたび福岡と大阪と続くドーム公演は12月27日まで行なわれ、12月28日と29日にはアンコール公演もあるという。

義務警察選抜試験の合否は11月11日に発表されるが、晴れて合格となれば今回のドーム・ツアーはT.O.Pの入隊前最後の大仕事となるだけに、大きな関心を集めるだろう。

かくいう私も注目している。数年前にソウルでロングインタビューした際、彼の率直さには非常に好感を持った。現在はハリウッドでも活躍する俳優イ・ビョンホンも、「T.O.Pはとにかく目がいい。役者としても素晴らしい力を持っている」と絶賛していた。

そんなT.O.Pが兵役前の活動をどう締めくくるのか。兵役に行けば約2年間のブランクができるので、これからの2か月は特に大事になりそうだ。

(参考記事:あの韓国アイドルたちは今、軍隊でどう過ごしている?)

いずれにしてもBIGBANGとT.O.Pの兵役カウントダウンはついに動き始めた。今年6月には韓国のスポーツ新聞『東亜スポーツ』で「BIGBANG兵役一斉入隊説」も報じられたが、所属事務所は事実無根とした。ただ、T.O.Pの入隊の日が現実味を帯びてきたことで、BIGBANGの今後にはこれからも大きな注目が集まるに違いないだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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